2019 Fiscal Year Research-status Report
設計変数の定義域狭域化による進化的計算のための探索領域限定方法の開発
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18K11469
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
折登 由希子 広島大学, 社会科学研究科, 准教授 (60364494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 良子 関西大学, システム理工学部, 准教授 (30511711)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 進化計算 / 初期探索空間の限定 / 縁付きヘッセ行列 / 資産配分問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究サーベイにより、初期の探索空間における空間の広さと変数の依存関係が、進化計算による探索の効率性に与える影響を確認した。 このため、令和元年度は、資産配分問題を対象に、平成30年度のモデルを拡張し、多次元空間を1変数から見た相対的な3次元空間と捉え、縁付きヘッセ行列の極値判定法を利用することで全3変数それぞれの組み合わせの極値点を導出した。これら複数の極値点の周辺を進化計算により重点的に探索することにより、最適解を得ることが期待できる。 空間の次元数をNとすると、平成30年度のモデルでは、(1/2)×(N-1)×N個の変数の組み合わせの依存関係を考慮した極値点を導出できるが、令和元年度のモデルでは、より多くの変数の組み合わせの依存関係を考慮した極値点を導出できる。これらの結果の比較により、令和元年度のモデルが進化計算の探索のためには優れていることを示した。 一方、令和元年度のモデルでは、N次元空間において相対的な3次元空間を構築する際に、はじめに選択した初期の1変数に対する他の変数の依存関係は、最終的に得られる極値点の特徴に影響を与えないことが実験的に明らかになった。この知見は、平成30年度のモデルによる結果と異なるものであり、相違点の分析は令和2年度に行いたい。 このように2年間で得られた2つのモデルの極値点の集合を利用し、最適解の探索が困難な多次元関数の最適化問題において、設計空間上の個々の変数の定義域を狭域化することにより進化計算が効率的に最適解を探索できる限定された探索領域を構築する方法の開発を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は、研究サーベイとシミュレーションの結果から、多次元空間における3つの制約付き最適化問題(バイナリ変数決定問題、順序決定問題、資産配分問題)に対して、解空間全体を進化計算で探索することは効率的ではない場合が多いという知見を得た。このため、当初計画を変更し、より効果的なモデルを構築するため、平成30年度のモデルの拡張に重点を置いた。 多次元空間を1変数から見た相対的な2次元空間だけでなく3次元空間と捉え、縁付きヘッセ行列の極値判定法を利用することで全3変数それぞれの組み合わせの極値点を導出した。N次元(多次元)の最適化問題において相対的な3次元空間を構築する際に、はじめに選択した初期変数に対する他の変数の依存関係が、極値点の特徴に影響を与えないことを実験的に明らかにした。 これらの実験結果を進化計算の初期探索空間の限定に利用するため実装を行っている。研究の部分的成果として、国際会議で3件、国内学会で6件の研究発表を行ったが、研究のまとめに向けた新たな部分的成果もすでに得ており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、進化計算が効率的に最適解を探索できる限定された初期探索領域を構築する方法の開発を継続するため、最適解が含まれると期待される多変数の領域を、平成30年度と令和元年度に得た研究成果を元に導出した2変数/3変数の極値点の集合を利用して限定する。また、感度分析等を利用した初期探索空間の限定を試みる。それらの限定初期領域において進化計算による探索を行い有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
数値実験における計算コストが大きく、部分的成果をまとめたいくつかの研究成果の発表が令和2年度となった。また、コロナウィルスによる研究会の中止があり、旅費に未消化が生じた。 令和2年度において、数値計算コンピュータの追加購入と研究発表のための旅費とする。
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Research Products
(10 results)