2018 Fiscal Year Research-status Report
多モードファジィ共クラスタリングと高度推薦システムへの応用に関する研究
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18K11474
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
本多 克宏 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80332964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生方 誠希 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10755698)
野津 亮 大阪府立大学, 人間社会システム科学研究科, 准教授 (40405345)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 共クラスタリング / ファジィクラスタリング / 意思決定支援 / 文書解析 / 共起関係データ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,3モード共起関係データに内在する共クラスター構造の抽出に主眼を置き,関連性の強い3モード要素クラスターの効率的な抽出法を開発することを目的としている.初年度は主に理論的側面からの展開として,以下の成果を上げた. (1) 個体×項目および項目×要素の2種類の共起関係データがそれぞれ異なる組織で保持されているときに,互いのデータを開示することなしに3モードファジィ共クラスタリングを実装するためのアルゴリズムを開発した.各組織での項目のクラスター構造の情報のみを共有することで,組織内で秘匿したい個体および要素の情報を伏せたまま,安心・安全なデータ活用を可能としている.これらの成果について,1件の国際会議発表および1件の国内学会発表を行った. (2) 共起関係データに内在する共クラスター構造を直感的に把握するアプローチとして,個体および項目の並べ替えによる構造縮約表現法を開発した.また,構造の有無を判断する際の指標としてクラスター交差指標を提案し,ノイズの影響などの評価が可能であることを示した.これらの成果について,2件の学術論文誌発表および1件の国際会議発表を行った. (3) ファジィ共クラスタリングの理論的基盤の考察として,個体と項目の分割に同時に排他性を導入するモデルや,カテゴリー分類との関連に関する研究を行った.(1)や(2)で開発した理論モデルを実データへ適用する際のモデル改良に必要となる知見が得られた.これらの成果について,1件の学術論文発表と2件の国際会議発表および1件の国内学会発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
主に理論的側面からの展開を図った初年度としては,当初の研究の目的を十分に達成する成果を得た.以下に,個別の課題における達成状況を述べる. (1) 3モードの共起関係データの活用にかかる課題では,2組織に分散保存されている異なる形式のデータを包括的に分析する手法を確立した.これらの成果は,当初の目的である「多モードファジィ共クラスタリング」に「データ保護」の観点も付加した展開を達成しており,当初に想定した目標を完全に達成するものであった. (2) 共クラスター構造の直感的な把握にかかる課題では,構造縮約のための並べ替えアルゴリズムを開発したことに加えて,クラスター交差指標によるノイズの影響の評価などの手法を確立しており,応用展開を検討する際の高い有用性を持つことから,想定を超える成果が得られた. (3) その他の展開としては,共クラスター構造の解釈性能を向上するためのアプローチとして同時排他的分割のアルゴリズム構築を達成した上に,カテゴリー分類との整合性も考慮した項目評価の課題への展開も示されており,目標とするレベルに達した成果が得られたといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の想定通り,第2年度以降は,理論的・応用的側面の両面について展開を図る.理論的側面については,初年度に開発した3モードファジィ共クラスタリングモデルにおいて,制約条件の排他性の影響に関する検証を深め,ノイズの影響の排除アプローチなどを検討する.また,複数要素の関連の考察として,非負値行列分解や正値行列分解との関連の考察を深め,応用範囲の拡大を目指す. 一方,応用的側面については,特許文献データ解析や環境汚染物質データ分析への適用を視野に入れ,実証実験を計画している.現在,新たに環境データを取り扱う公的研究機関からの協力を得る体制が整い,データの前処理が進んでいる.共起関係分析の新たな活用分野の開拓を目指す試みとして,実用性の検証に適した応用展開が期待できる. そのほか,第3年次に向けては,位置情報活用システムなどへの拡張も視野に入れ,基礎データの収集などを行っていく.
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Causes of Carryover |
2018年度内に掲載・発表を計画していた雑誌論文・国際会議について,査読日程の遅れや投稿分野の変更により2019年度に後ろ倒しされる見込みとなったため.また,理論的検証に用いるデータの容量が比較的に軽微に抑えることができ,既存のパーソナルコンピュータの援用が可能であったことから,新規の購入を2019年度に延期したため. 2019年度に掲載・発表する雑誌論文・国際会議の経費や,大規模データのシミュレーション用の物品購入費として使用する.
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