2018 Fiscal Year Research-status Report
振動モード間の共鳴を基礎とした結合振動子系にみられる波動解析への新たな展開
Project/Area Number |
18K11476
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 邦康 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (10409451)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非線形波動 / 平均化法 / 摂動法 / 結合発振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は, 電力増幅部に非線形特性を有する発振回路が結合された結合発振器系を主な対象とした. 特に, 自由度が小さい系の解析を行い, その主な概要と成果を以下で示す. 電力増幅部の電圧電流特性が5次多項式で表され, 発振特性が硬い発振回路の5個の結合系を対象にし, 振動モード間の共鳴を摂動法の一種である平均法を用いる際に仮定することで解析を行った. 本研究で提案する仮定を元に平均化法で求めた定常解の安定性を解近傍の線形化処理による特性行列により評価した. その結果, 5結合系においては4種類の波動振動解が現れることを明らかとなった. これにより, これらの波動解の位相速度および群速度を具体的に求めることに成功し, その特徴量を比較することに成功した. また, 回路実験によりこれらの波動解が実際に観測可能であることを示すことができた. 一方で, 実験結果と近似理論解の周波数特性に若干の差異が発生することが確認された. これは, 非線形性の大きさの程度の違いによるものと考えられるため, 次年度の実証課題の一つとして考えられ, 次年度における検証が必要となることを確認した. これに加えて, 波動現象に共存する定常解が, 5個の結合発振系における時空間的なパターン振動に対応することが確認することに成功しており, 次年度の早い段階で国際学術会議にて報告することが決定した. また, これらのパターン振動の回路実証は今後の課題として確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の主な目的は, 結合発振器系における振動エネルギーの局在化するメカニズムの解明とその特徴量の抽出である. 本年度の研究成果は, 系の自由度が小さい場合の近似解の特性評価に関するものであり, 波動解においては回路を使った実証実験結果を示すに至っている. これらの知見を元に, 多自由度系における一般化に活用することができると期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
多数の発振回路が結合された多自由度系の平均化法の適用と近似解の導出を主な目的とする. 本年度の少数自由度系の結果を元に, 近似解導出計算を検討する. また, 求められた近似解の安定性および共存解を検討し, 少数自由度系で導出された波動解や時空パターン振動との比較を行い, その差異を明らかとする予定である. また, これらの回路実証のための準備を始め, 回路実験による実証結果が得られるための準備を行う予定である.
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Research Products
(9 results)