2018 Fiscal Year Research-status Report
Computational study of neural information processing for perceptual constancy under changing environments
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18K11485
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
三浦 佳二 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (60520096)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | neural coding / default mode networks / information geometry |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の研究においては,ある神経細胞がどんな感覚刺激に応答するのかを調べるのが慣例であるが,近年は何も刺激が無い時の活動も注目されつつある.そして意外なことに,この背景活動は大きく変動する一方,刺激に対する応答は実は相対的に小さい事が報告された.本課題では,はたして脳は,背景活動が大変動する中,どのようにして感覚刺激を認識できるのか,の解明を目指す.背景活動を考慮した新規脳情報処理モデルの導出は,より精度の高い脳信号解読を可能とし,深層学習の設計指針を与え,脳疾患の病因解明にも繋がりうると期待される. 本年度は,変動に対して恒常性を持つ脳の仕組みを明らかにする目的で,特に,背景活動成分を分離除去した残さ活動が,細胞間でどの程度同期しているか,を情報幾何学に基づいて推定できる相関の指標を新規開発した.この指標により,背景活動由来の長期成分の相関と,固有の短期成分の相関とを別々に見積もることができるだけでなく,機械学習を用いたデコーディング解析と組み合わせることで,それぞれの成分の存在が神経情報表現にとって得なのか損なのかを解明できるようになる.我々は,一次視覚野を例にして,このような解析が実際にできることを実証した.その成果は,Society for Neuroscience年会で学会発表を行なった他,同学会の学術雑誌eNeuroにおいて論文発表も行なった.またeNeuro論文に付属する資料として,R言語での計算コードを公開した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究代表者と研究協力者(学生)による研究成果として、本研究課題の1年目にして、論文を出版する成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,「はたして脳は,背景活動が大変動する中,どのようにして感覚刺激を認識できるのか?」の解明を大きな目標とする.特に,変動に対して恒常性を持つ脳の仕組みを明らかにする目的で,背景が経時変化する神経応答データにおいて,刺激判別の精度を最大化する特徴量は何かを探る.特に,これまでに研究代表者が導出した指標を含めて,現代幾何学の異なる大域整合性概念を仮説とした特徴量を比較することで,何に応答しないのかという不変性を解明する.例えば,情報幾何学で背景活動成分を分離除去した残さから相対的なチューニングカーブ(刺激と応答の対応曲線)を計算し特徴量とする.
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Causes of Carryover |
初年度の金額のみでは、100万円程度の大型計算機を購入するには不足したため、繰越が生じた。 次年度における使用計画としては、大型計算機の購入、あるいは、成果報告のための外国旅費に使用する予定である。
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