2019 Fiscal Year Research-status Report
Computational study of neural information processing for perceptual constancy under changing environments
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18K11485
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
三浦 佳二 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (60520096)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | neural coding / information geometry / default mode networks / dopaminergic neurons / striatum / substantia nigra / noise correlations / nonstationarity |
Outline of Annual Research Achievements |
脳の研究においては,ある神経細胞がどんな感覚刺激に応答するのかを調べるのが慣例であるが,近年は何も刺激が無い時の活動も注目されつつある.そして意外なことに,この背景活動は大きく変動する一方,刺激に対する応答は実は相対的に小さい事が報告された.本課題では,はたして脳は,背景活動が大変動する中,どのようにして感覚刺激を認識できるのか,の解明を目指す.背景活動を考慮した新規脳情報処理モデルの導出は,より精度の高い脳信号解読を可能とし,深層学習の設計指針を与え,脳疾患の病因解明にも繋がりうると期待される.昨年度までには,一次視覚野を例に,変動に対して恒常性を持つ脳の仕組みを明らかにする目的で,特に,背景活動成分を分離除去した残さ活動が,細胞間でどの程度同期しているか,を情報幾何学に基づいて推定できる相関の指標を新規開発し,学術雑誌eNeuroにおいて出版した論文に付属する資料として,R言語での計算コードを公開してきた. 本年度はさらに,研究対象を感覚刺激への応答に限定せず,報酬量を符号化しているとされる神経細胞の活動から,ランダムウォークのような背景活動成分を除き,報酬への応答成分のみを見積もることを行った.この成果は,Society for Neuroscience年会でも発表し,また神戸新聞2020年2月11日にも関連する解説記事を執筆した.この線条体の価値ニューロンの解析とあわせて,黒質等のドーパミンニューロンの解析も行い,特に,神経活動に変動もありうる中でも,黒質の神経細胞のドーパミンニューロン/非ドーパミンニューロンへの分類を9割以上の精度で行う方法を開発した.この成果はIEEE EMBC 2019の会議録として出版した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度も査読付きの学術論文を出版する成果をあげた.国際学会でも10件の発表を行った.一般向けの新聞の解説記事も出版した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,「はたして脳は,背景活動が大変動する中,どのようにして感覚刺激を認識できるのか?」の解明を大きな目標とする.特に,変動に対して恒常性を持つ脳の仕組みを明らかにする目的で,背景が経時変化する神経応答データにおいて,刺激判別の精度を最大化する特徴量は何かを探る.特に,これまでに研究代表者が導出した指標を含めて,現代幾何学の異なる大域整合性概念を仮説とした特徴量を比較することで,何に応答しないのかという不変性を解明する.例えば,情報幾何学で背景活動成分を分離除去した残さから相対的なチューニングカーブ(刺激と応答の対応曲線)を計算し特徴量とする.
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Causes of Carryover |
大型計算機を購入するには単年度分では金額が不足し、また、ノウハウを蓄えるための準備も必要であったため、繰越が生じた。具体的には、ディープラーニングを道具として利用した研究が流行しつつある中で、本研究課題でも取り入れる必要性が生じてきた。その準備として本年度にディープラーニング専用PCを一台購入した。今後ノウハウを蓄えた上で、高額にもなりうる、より高性能なディープラーニング専用機を次年度に購入予定である。次年度における使用計画としては、大型計算機の購入の他、成果報告のための外国旅費に使用する予定である。
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