2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11486
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
保坂 亮介 福岡大学, 理学部, 助教 (80569210)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 興奮抑制均衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経回路の興奮性と抑制性のニューロンは、その数と強度が均衡し(興奮抑制均衡)、多くの神経機能を担保している。非定常な入力を処理する系において、均衡状態はシナプス学習によって動的に組織されるべきであるが、そのための最適な学習関数が不明である。また、均衡にとっての最適な学習関数と、情報処理にとっての最適な学習関数は同一であろうか。そこで本研究は、興奮・抑制シナプスにSTDP学習則を持つ相互結合型神経回路において、均衡とその情報処理的観点から、最適なシナプス学習関数を導出し、この問いに答える。研究は次の手順で行われる: (1) 興奮・抑制ニューロンからなる神経回路を計算機上に実装する。 (2) 様々な関数形のSTDP学習関数のもとでの興奮抑制均衡構造を調べる。 (3) 学習関数による情報変換機能の修飾を検証し、情報処理機能における最適な学習関数を導く。 1、2は実行済みであり、2020年度は課題3に取り組んだ。本研究課題に先行する申請者らの研究によって、興奮性ニューロン-興奮性ニューロン結合にSTDP学習則を持つ神経ネットワークは、ノイズの含まれない入力パターンを学習する場合に比べて、若干のノイズが含まれた入力パターンを学習した場合のほうが学習性能が向上することが示された (Hosaka et al,Neural Computation, 2008)。この背後に存在するメカニズムを明らかにするために、シナプス荷重の時間変化を1シナプス単位で追跡する解析方法の開発を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍のため、進捗が大幅に遅れている。 本研究課題に先行する申請者らの研究によって、興奮性ニューロン-興奮性ニューロン結合にSTDP学習則を持つ神経ネットワークは、ノイズの含まれない入力パターンを学習する場合に比べて、若干のノイズが含まれた入力パターンを学習した場合のほうが学習性能が向上することが示された。この背後に存在するメカニズムを明らかにするために、シナプス荷重の時間変化を1シナプス単位で追跡する解析方法の開発を試みたが、コロナ禍のため、研究室に行けない日が多く、また家庭保育の必要も生じたため、十分な研究時間を確保できず、進捗が大幅に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れている、ノイズが引き起こす性能向上の解析を進める。また、機械学習の分野ではモデルのパラメータをデータに調整し過ぎることで汎化能力が低下する「入力に対するモデルの過学習」が知られている。上記の現象もこれに準じたメカニズムにより生じていることが考えられるため、その観点からも調査する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、研究に遅延が生じ、また国際会議等への出張が無くなったため予算を次年度使用とした。
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