2018 Fiscal Year Research-status Report
4足動物の歩行走行パターンが姿勢に応じて変化するという仮説のロボットを用いた検証
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18K11489
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福岡 泰宏 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 准教授 (40418679)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 歩行走行ロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
4足動物は速度に応じて異なる複数の歩行走行パターン(4脚の動かし方)を使い分けている.その結果エネルギー効率が最良になることはNature, Scienceを筆頭に多く報告されてきたが,各パターンの発生原理については多分野での多くの試みにも関わらず未だに不明である.我々はこれまでに簡素な機構・神経系を持つ4足シミュレーションモデルとロボットに動物の複数の歩行走行パターンを創発させ,個々のパターンが生成する一貫した単純なルール(なぜその順番で4脚を動かすのかまで)を世界で初めて発見し,著名な論文誌で報告した.それは,速度によって異なる姿勢(胴体振動)が個々の異なるパターン(動物の主要パターン7種全て)を誘発するという仮説である.本研究では,その仮説の妥当性を高めることを目的とし,より動物に近い機構・神経系を持つ猫をモデルとした4足シミュレーションモデル,4足ロボットを開発し,それらにおいても,これまで開発した簡素な4足シミュレーションモデル,ロボットと同様に歩行走行パターンを創発させられるかを確認することとした.平成30年度には,4足シミュレーションモデルにおいては,walk, trot, gallopの歩行走行パターンを創発させることに成功した.この成果は国際学会において発表している.また,現在学術誌論文を投稿中である.また,4足ロボットにおいては,製作が完了し,trotでのリズミカルな歩行走行ができることを確認した.今後はwalk, trot, gallopの歩行走行パターンの遷移を4足ロボットにおいても創発させることを目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30,31年度の当初目標は,各脚の機構について「人工筋肉アクチュエータにより動作する3関節駆動脚」,および神経系について「最新の神経工学に基づいた詳細なニューロンモデルを用いた運動生成器の数理モデル」を適用した4足ロボットを開発・実験し,旧モデルと同様のパターン生成が可能であるかを観察するということであった. 平成30年度における成果は以下である.4足ロボットについては,予定通り人工筋肉アクチュエータにより駆動する3関節駆動脚を4脚備えた4足ロボットを製作し,人工筋肉アクチュエータを駆動するための空気圧制御装置を構築し,シミュレーションに用いた歩行走行生成制御神経系を搭載して歩行走行実験を行った.結果として,プログラムで指定したtrotと呼ばれる歩行走行パターンで安定した歩行走行が実現可能であることを実証した.ただ,ロボットの歩行走行加速度が大きくなるに連れてこれまでのトレッドミル上では狭くなってしまったため,大型のトレッドミルを自作して実験を行った.結果,広範囲の速度域で安定したトロット歩行走行が可能であることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度における目標は平成30年度と同じく,人工筋肉アクチュエータと神経工学に基づくニューロンモデルを用いた4足ロボットによる歩行走行実験において,旧モデルと同様の歩行走行パターンが創発されることを確認することである.平成30年度において安定したtrot歩行が可能であることを確認したが,目標としているのはtrot以外の明示的にプログラムしていないwalk, gallopを創発させることである.これまでの我々のシミュレーションにおける研究成果に基づけば,これらを出現させるためには脚負荷を正確に計測するセンサーを取り付けなければならない.平成30年度は足底につけた感圧センサーと人工筋肉アクチュエータの長さ計測センサーを併用することで脚負荷計測を試みたが,取り付け状態などに問題があり,十分な計測ができなかった.令和元年度はそれらのシステムの改良をし,それでも問題があるようなら力センサーの適用を検討している.また,ロボットの重量に対して人工筋肉の空気圧が不足しているという問題もあり,これはロボットの軽量化,人工筋肉の取り付け位置の再検討などを行い,解決する予定である.また,トレッドミル自体の加速度の不足により,ロボットが満足いく加速度で走行できないので,トレッドミルを駆動するモータをより強力なものに交換することも検討している.これらの対策を実施し,令和元年度目標としているwalk, trot, gallopの歩容遷移を実現することを目指す.
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Causes of Carryover |
4足ロボット歩行用トレッドミル製作費用として計上していた金額が想定よりも安くなったため,次年度使用額が発生した.しかし,現状のトレッドミルはまだ問題点がある.具体的には加速度が足りない.これを改良するため,トレッドミルのモータの交換を考えている.そのモータ購入の一部として次年度使用額を使用する予定である.
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Research Products
(5 results)