2021 Fiscal Year Research-status Report
身体同調に基づく三者間コミュニケーションに対する社会性の影響の定量的分析
Project/Area Number |
18K11500
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
小川 健一朗 流通経済大学, 流通情報学部, 准教授 (90612656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 美博 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (20219752)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 対面コミュニケーション / 身体動作同調 / 社会性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では三者間の非言語コミュニケーションにおける第三者の影響を調べることを目的とし、教師役一人(実験者)から生徒役二人(参加者)への一方向的に情報を伝達する実験を行い、生徒間に壁を入れることで視覚的相互作用を遮断した場合と壁を入れない場合とで生徒役の身体動作を定量的に比較した。その結果、生徒間の視覚的相互作用はお互いの協調関係を強化する傾向にあると共に、生徒の教師に対する関心は他の生徒の存在により強化される傾向にあることが示唆された。 この実験の発展系として、本年度は、(条件1)教師役一人(実験者)と生徒役二人(一人が実験者、もう一人が参加者)が実験に参加する、(条件2)条件1の下で生徒間に壁を設け、生徒間の視覚的な相互作用を遮断する、という2条件下で教師から生徒へ一方向的に情報を伝達する実験を計画し予備実験を行った。この実験のポイントは、両条件とも生徒役の実験者は教師役である実験者の話に対してわざと身体的に大きな動作で反応するように設定することにある。これにより、昨年度までの実験と比較して、条件1において生徒役であるもう一人の参加者は生徒役である実験者の身体動作を視覚的により意識するようになるであろう。この実験により、昨年度までに得られた実験結果を確実なものとすることができる。そして、予備実験の結果、条件2と比較して条件1における参加者の身体動作の頻度が統計的に有意に高くなることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度、昨年度までの実験をより確実なものとするため、研究実績の概要の欄に記載した通り、条件を少し変えた実験を行うことを計画した。当初の予定では予備実験に加えて本実験も行う予定であったが、COVID-19の影響で予定していた本実験を全てキャンセルせざるを得ない状況になってしまった。この点で、当初の研究計画項目からはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度計画していた本実験を行う予定である。感染症対策も含め、現在予備実験を進めている段階であり、本実験実施の目処は立っている。ただし、統計分析に十分な量のデータを収集できるか否かは分からないので、現在得られているデータに対して、これまでのタイムラグをパラメータとした周波数解析と相関分析に基づく同調分析に加えて、周期性の詳細を調べるためにリカレンスプロットを用いたカオス同期分析を行うと共に、サンプル数の不足を補うためベイス検定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度と同じく本年度もCOVID-19の影響により大学外部から参加者をリクルートして本実験を行うことができなかった。加えて、国内学会や研究会、国際会議等の活動も全てオンラインとなるなど、当初計画していた研究の停滞を余儀なくされたため、本年度使用予定であった経費の一部が残った。 そこで、次年度は、本年度に行った予備実験に基づき本実験を行う予定である。そして、その研究成果を論文として投稿する予定である。繰越金は主として実験参加者と実験協力者への謝金と論文の掲載料に使用する計画である。
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