2018 Fiscal Year Research-status Report
耳鳴の自覚的表現に基づく音響療法支援システムの開発と評価
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18K11502
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
為末 隆弘 山口大学, 大学情報機構, 准教授 (00390451)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 耳鳴 / 自覚的表現 / 擬声語 / 音響療法 / 支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、耳鳴患者の多種多様な自覚的表現(擬声語)に基づいて、患者の症状や生活環境に柔軟に適用できる音響療法支援システムの開発を目的としている。今年度はまず、耳鳴や耳鳴検査,さらには耳鳴再訓練療法に関する従来の症例報告や研究論文から、耳鳴を表現するために用いられる「ジー」や「キーン」といった擬声語について調査した。擬声語による表現は日本語特有であり、表現の過程に音色の聴覚心理的属性が関与すると考えられるが、耳鳴は表現するために用いられる擬声語は多岐にわたり、100を超える擬声語が収集された。次に、耳鳴の周波数帯域やスペクトル構造、さらには音色に関連する音響的特徴と擬声語の関連性について考察する目的で、耳鳴は表現するために用いられる擬声語と様々な音響的特徴をもつ純音性・雑音性の音響刺激との類似性を調査する音響心理実験を行った。また、「やわらかい‐かたい」「はっきりした‐ぼんやりした」といった様々な形容詞対を用いて、耳鳴は表現するために用いられる擬声語の音色を評価するための音響心理実験を行った。これらの心理実験で得られた実測データに対して、因子分析やクラスター分析を適用し、耳鳴は表現するために用いられる擬声語の分類や特徴の抽出について検討を行った。さらに、擬声語から耳鳴をどの程度再現できるかについて考察するために、音声分析合成システムを参考にして、耳鳴に関する擬声語の特徴から耳鳴模擬音を試作する方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
耳鳴を表現するために用いられる擬声語を収集し、これたと耳鳴の周波数帯域やスペクトル構造、さらには音色に関連する音響的特徴の関連性について考察した。さらに、擬声語から耳鳴をどの程度再現できるかについて音声分析合成システムを基に検討した。また、耳鳴再訓練療法に用いる治療音としてどのような音響的特徴を具備する必要があるか、環境音や自然音を治療音として活用できる可能性について考察した。
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Strategy for Future Research Activity |
耳鳴と治療音の心理的定量評価の確立に向けて、どのような主観的評価をどのような言語表現で行えばよいかについて候補を洗い出す。環境音や自然音等の治療音のレベル値を種々変化させて耳鳴に付加したとき、どのような言語表現に相当するかを明らかにする。言語表現が妥当なものであるか否かを検討し、言語表現とそのレベルを決定する。耳鳴と治療音の生理的定量評価の方法の確立に向けて、従来の研究事例やこれまでの研究業績を参考にして、脳波の自律的・背景的な電位変動成分や中潜時・長潜時の聴覚誘発電位・事象関連電位のほかに、どのような特徴量で評価できる可能性があるかを検討し、いくつかの候補を決定する。
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Causes of Carryover |
関連学会へ発表するための英文が校正を要することなくアクセプトされ、次年度使用額が生じた。次年度の関連学会へ発表・投稿するための英文校正費として使用する。
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Research Products
(4 results)