2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11515
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
横井 功 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 助教 (50592747)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 素材 / 素材知覚 / 実物体 / 把持運動 / 視覚 / ニホンザル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の生活環境に存在する物体は様々な素材によって作られている。ある物体がどのような素材によって構成されているのかを知ること(素材知覚)は日常生活において必要不可欠な知覚・認知機能である。これまでに研究代表者らは腹側高次視覚野においてさまざまな素材の区別が行われていること、腹側高次視覚野の神経表現は様々な素材(金属、ガラス等)の実物体の視触覚経験によって変化することを明らかにしてきた。これらの結果は腹側高次視覚野が素材知覚に深く関与していることを示唆する。本研究は腹側高次視覚野のニューロンが様々な素材の物体を把持する行動にどのように関与しているのかを明らかにすることを目指している。2019年度は行動実験と生理実験を行った。始めに、目の前に呈示された実物体を把持する行動課題を2頭のニホンザルに訓練した。訓練終了後に様々な素材の実物体を呈示し行動反応を記録した。行動実験開始直後の行動反応は素材の種類によって異なり、これまでに記録した別個体の行動反応と似た傾向を示した。次に、注視課題遂行中のサルに様々な素材の写真を視覚刺激として呈示し、電気生理学的手法を用いて下側頭皮質後部のニューロンの視覚応答を記録した。多くのニューロンが特定の素材画像について選択的に反応することを確認した。さらに選択的反応を示した一部のニューロンにおいて、反応強度に基づいて選んだ実物体を視覚的に呈示し、ニューロン活動を記録した。これらの実験により腹側高次視覚野の神経活動と素材の把持運動との関係性を調べるうえで有用な実験データが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた把持運動課題の訓練と生理実験を2頭のサルにおいて行い、素材知覚の神経メカニズムを解明する手掛かりとなり得る知見を見出していることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは、これまでの成果を学術雑誌に投稿し受理を目指す。さらに、実物体を把持する行動課題遂行中のニューロン活動の記録とこれまでに記録した実験データの詳細な解析を行い、様々な素材の把持運動における腹側高次視覚野の関与を明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
2019年度は行動実験を優先して行い電気生理実験の開始時期が遅れたため次年度使用額が生じた。未使用額は研究計画を進める上で必要な機材の購入にあてる。
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Research Products
(2 results)