2020 Fiscal Year Research-status Report
Detection of unnatural writing behavior by analyzing the appearance of handwritten strokes
Project/Area Number |
18K11516
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
赤尾 佳則 科学警察研究所, 法科学第四部, 室長 (30356159)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筆跡 / 質感 / ソフトバイオメトリクス / 偏角反射特性 / 熟練者 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 専門家による主観的指標の探索 不自然な筆跡の代表例として,透写条件の筆跡を文書鑑定の専門家が観察し,筆跡の画線の状態から不自然な状態が認められるかを検査した.研究代表者が実体顕微鏡で筆跡を観察し,記述による指摘をおこなった.指摘事項は,質感を含む画線の特徴のほか,その筆跡が書かれたときの運筆状態の推定も含めた.その結果,透写条件では,以下の点が指摘された.全体的に,よどんでいる,抑揚がない印象を与える.連続運筆がみられない.画線の太さがほぼ均一であり,太い部分,細い部分の差が少ない.画線の曲率が急に変わっている部分があり,湾曲した画線では,滑らかに曲がっておらず,直線では画線が震えている.始筆部からしっかりと筆が下ろされており,ペン先の速さが低い.終筆部で筆が止まっている. 2 主観的指標と物理的特性との関連性探索 上記1の主観的指標と,昨年度までの解析で得られた透写筆跡の物理的特性との関連性を探索した.質的データの分析手法の一つであるKJ法を用いて,上記の情報を整理したところ,偏光比画像を指標とし,その画素値始筆部,終筆部の運筆の停滞を検出するとともに,画線内の画素値の均一性を評価することにより,透写筆跡を検出できる可能性があると考えられた. 3 偏光型複眼カメラによる筆跡画線解析 今年度導入した偏光型複眼カメラを用い,昨年度までに解析した筆跡画線の偏光比画像を再検証した.上記カメラは,画像センサ上に市松配置された4種類の偏光フィルタを有するため,以前のシステムで必要だった偏光フィルタを切り替えての複数回撮影が解消され,ワンショットで測定が完結した.それに伴い,複数ショット間の画像位置合わせの問題も解消されたことから,画線上の光沢やテクスチャの解像度が向上し,詳細な偏光比画像が得られた.従来の装置と比べて,不自然な書字行動との対応づけを正確に進める上で有利と考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の状況により,予定していた被験者を増やしての実験ができなかった.一方で,新規導入した偏光型の複眼カメラにより,筆跡画線により適した解析が可能となった.昨年度までに取得した筆跡試料を再検証することにより,不自然な書字行動との対応づけが進んだ.
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Strategy for Future Research Activity |
被験者数を増やし,透写条件及び自然条件での筆跡の採取を継続する.始筆部や終筆部などのペン先の速さが低い領域を中心に,偏光比画像,質感関連用語と書字ダイナミクスとの関連の解析を続け,自然条件,透写条件の検知指標を提案する.研究成果をとりまとめ,学術集会で発表をするとともに,学術雑誌への論文投稿原稿を作成する.
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Causes of Carryover |
本年度後半に研究成果を発表する予定だった学術集会が,次年度に延期となった.当該分野の専門家が多く参加する上記学術集会で発表するため,次年度使用額が生じた.上記使用額は,学術集会での発表費用,その後の英語論文執筆での校閲費用,学術雑誌への投稿料に充当する.
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