2022 Fiscal Year Annual Research Report
Detection of unnatural writing behavior by analyzing the appearance of handwritten strokes
Project/Area Number |
18K11516
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
赤尾 佳則 科学警察研究所, 法科学第四部, 室長 (30356159)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筆跡 / 質感 / ソフトバイオメトリクス / 偏角反射特性 / 熟練者 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度にあたり,これまでの研究成果を総括した.本研究では,不自然な筆跡の代表例として透写条件(手本を敷き写して文字を書く)での筆跡を対象とした.透写条件では,自然条件と比べてペン先の速さが低下し,書字時間が長くなった.また筆圧は,透写条件では自然条件と比べて変化の幅が狭く,ほぼ一定の状態が続いていた.ペン先の速さや筆圧などの書字ダイナミクスと関連がある筆跡画線の物理的特性を探索したところ,筆跡画線の偏光比画像が,指標として有効であることが明らかとなった.偏光比画像の画素値を指標とすると,筆記時の筆圧と,ペン先の速度の逆数の積である力積との関係がみられた.始筆部,終筆部では,指標の安定性に問題がみられたが,筆跡画線の前後の状況を考慮することにより,適切な判断が可能となった.さらに透写条件での筆跡を指摘する質感関連用語を探索したところ,以下が列挙された.全体的に,よどんでいる,抑揚がない印象を与える.連続運筆がみられない.画線の太さがほぼ均一であり,太い部分,細い部分の差が少ない.画線の曲率が急に変わっている部分があり,湾曲した画線では,滑らかに曲がっておらず,直線では画線が震えている.始筆部からしっかりと筆が下ろされており,ペン先の速さが低い.終筆部で筆が止まっている.「画線の太さがほぼ均一であり,太い部分,細い部分の差が少ない」点については,偏光比画像の画素値の均一性と関連がみられた.その他の形状に関する指摘については,可視反射画像情報からの特徴抽出と複合させることにより,不自然な筆跡である透写筆跡を,より高度に検出できると考えられた.総括すると,透写条件での筆記における書字ダイナミクスは,従来から熟練者が指摘してきた筆跡画線の質感を生み出し,偏光比画像を指標として検出できる可能性があると考えられた.
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