2018 Fiscal Year Research-status Report
介護ライフログ解析による介護行為の改善・高度化支援に関する研究
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18K11530
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山崎 友義 宮崎大学, 医学部, 研究員 (50586609)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
串間 宗夫 宮崎大学, 医学部, 研究員 (00727414)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 介護記録データ / テキストマイニング / 標準的介護記録辞書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、要介護度に対応した電子介護記録作成を可能にする介護記録用辞書の開発である。当該年度の計画では、介護老人保健施設の現場で生じる膨大な介護記録データ(以下、介護ライフログ)を集積し、その内容の分析(テキストマイニング)を実施することであった。介護記録からのデータ抽出は宮崎大学医学部付属病院が運営管理している宮崎市立田野病院に併設されているさざんか苑の介護記録を用いて行った。介護記録のテキストマイニングは次年度の要介護度に対応した標準的介護記録辞書のベースとなる仮説辞書を構築するのに必要であり、その手法の検討結果を第38回医療情報学連合大会で発表した。この発表では、介護ライフログに適用することによって、介護記録の分析を行い、その結果について介護行為を可視化する手法、あるいは介護行為を検証する手法について検証できた。この成果を発展させて、介護職員が有する可視化されていない介護知識を可視化するテキストマイニング手法の開発を発表した(International Multi-Conference of Engineers and Computer Scientists 2019 in Hong Kong)。 当該年度でボトルネックとしたデータの匿名化である。匿名化は宮崎大学医学部付属病院での実績もあり、匿名化処理は終了した(この研究も倫理委員会の承認を得ている)。 新たなボトルネックとして、介護ライフログデータと他のデータ(介護保険請求記録)を横断できる解析手法が必要となった。我々は電子カルテ記録と医事請求記録を組み合わせて、多くの症例からエビデンスを見つける手法を開発した(第38回医療情報学連合大会と第19回日本クリニカルパス学会で発表)。この手法は次年度の仮説辞書の構築に有効なツールとなる可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している理由を下記に示す。初年度の研究計画では、以下の2点の達成を目的とした。 ①介護ライフログ作成に必要なデータを抽出した。 ②抽出したデータをテキストマイニングで解析した。 ①②とも順調に進展している理由は、30年度の成果を国内と国外の学会に発表したことである。しかし、介護記録からデータを抽出したが、その内容を客観的に評価できる介護保険記録のデータと組み合わせた解析手法が必要なことが判明した。異なるデータベース間を横断できる解析手法の開発を試み、その成果を国内で発表した。新たに開発した解析手法は次年度以降の研究に有効なツールとなる可能性が高い。 ただ、介護記録はアナログデータであり、テキストマイニングで使えるデジタルデータに変換する作業が自動的に行えない問題もあり、データ量を効率的に増やすことが次年度の研究成果に影響することが課題としてあがった。この課題については研究分担者とともに解決する方向(スキャン取り込みの精度を上げる)で取り組んでいる。 ②の成果発表は国内だけを予定していたが、仮説辞書構築への基礎的な成果が得られたことにより、31年度に予定していた国外発表を30年度に前倒しで行った。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、31年度に解析データを用いて要介護度に対応した標準的介護記録辞書のベースとなる仮説辞書を構築できた段階で、この成果を外国で発表する予定であったが、30年度の10月の段階で、仮説辞書構築への基礎的な成果が得られた。この結果、31年度の半ばごろから構築した標準的介護記録辞の内容を介護実務者と共同で検討する時期を早くすることが可能になった。介護実務者との共同作業が31年度のボトルネックであり、作業時期を早めることで、研究の進行の遅れを招くリスクが低減できる。介護ライフログと介護保険を組み合わせた解析が行われることで、介護実務者地に検討時に有効なエビデンスを提供できることが可能となり、介護実務業務の可視化を促進できると考える。 32年度に予定している標準的介護記録辞書の修正作業も31年度後半から取り組める予定になり、研究の進捗が図られることが考えられる。ただ、31年度は外国発表を行わないが、32年度は研究成果を外国で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
31年度より50万円の前倒し支払いを請求した。前倒し請求の理由として当初予定していなかった学会発表での1人分の旅費追加が必要になった(宮崎-函館、3泊分)。31年度に予定していた研究分担者の海外学会発表が今年度(3月)になった。個人情報が含まれるデータ保存に必要なセキュリテイの高いHDDを購入するため。初予定していなかった学会発表は異なるデータベースを横断して解析できる手法の開発の成果発表であり、次年度の研究に有効なツールとして利用できる。 上記の項目が前倒しの理由です。
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Research Products
(7 results)