2020 Fiscal Year Research-status Report
膜タンパク質の段階的な細胞内局在化機構の解明と細胞内局在化経路予測法の確立
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18K11537
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
池田 有理 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (30371082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越中谷 賢治 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員 (90806499)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオインフォマティクス / 細胞分子生物学実験 / 膜タンパク質 / 膜貫通領域 / 細胞内局在経路 / 膜交通 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題では、I型・II型の膜タンパク質を対象として、シグナルペプチド・膜貫通領域や、シグナルアンカー配列・末端タグ配列から細胞内局在経路ごとの特徴を抽出し、判別解析を行うことにより、膜タンパク質の細胞内局在化の各段階において細胞内局在性を決定している要因を明らかにする。また、GFP融合タンパク質発現細胞を用いた各要因の検証実験を併せて行う。さらに、上記で得られた各要因を利用して細胞内局在化経路を予測する方法を開発し、Web公開を行う。 上記の研究目標に照らし、令和2年度は以下3つを実施した。 (1) I型膜タンパク質シグナルペプチド配列および膜貫通領域周辺配列の特徴抽出:細胞内局在経路ごとに、I型膜タンパク質膜貫通領域周辺配列の特徴抽出を行った。 (2) II型膜タンパク質のシグナルアンカー領域とI型膜タンパク質のシグナルペプチド領域およびI型膜タンパク質の膜貫通領域とその周辺配列の比較を行った。 (3) II型膜タンパク質のシグナルアンカー領域とGFPの融合タンパク質の発現ベクターを9パターン作製し、HeLa細胞で発現させ、GFP蛍光を共焦点レーザー顕微鏡で確認した。小胞体局在性II型膜タンパク質のシグナルアンカー領域周辺配列だけをGFPと融合しても、GFP蛍光は小胞体で確認された。ゴルジ膜局在性II型膜タンパク質のシグナルアンカーとGFPの融合タンパク質はゴルジ膜に、細胞膜局在性II型膜タンパク質のシグナルアンカーとGFPの融合タンパク質は細胞膜に、それぞれ局在化された。小胞体膜・ゴルジ膜・細胞膜への局在化には膜貫通領域周辺配列が本質的であることを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バイオインフォマティクスに関係する計画の進捗は順調である。一方、ウェットの検証実験の計画については、実験を行う予定だった博士後期課程の大学院生が中退したことに加え、コロナ禍で実験室への出入りが制限され、予定通り推進することができず、一部の計画をバイオインフォマティクスに変更することとなった。しかし、10月から4ヶ月間雇用した研究補助アルバイトの尽力で、ウェットの検証実験も予備的な実験を終え見通しを立てることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) I型膜タンパク質シグナルペプチド配列および膜貫通領域周辺配列の特徴を用いた細胞内局在性の判別を行う。また、そのルールをもとにモデル配列を設計し、GFP融合タンパク質を作製して検証実験を行い、論文を作成する。 (2) II型膜タンパク質のシグナルアンカー領域とI型膜タンパク質のシグナルペプチド領域およびI型膜タンパク質の膜貫通領域とその周辺配列の比較を行った結果を論文にする。 (3) II型膜タンパク質のシグナルアンカー領域とGFPの融合タンパク質の発現ベクターを9パターン作製し、HeLa細胞で発現させ、GFP蛍光を共焦点レーザー顕微鏡で確認したところ、小胞体膜・ゴルジ膜・細胞膜への局在化には膜貫通領域周辺配列が本質的であることを示すことができた。この内容についての論文を作成する。 (4) 小胞体局在性のI型膜タンパク質のうち、C末端に小胞体停留シグナルを持つタンパク質と持たないタンパク質に分類し、小胞体停留シグナルを持つタンパク質の膜貫通領域がゴルジ体局在性の配列パターンであることを、バイオインフォマティクスと検証実験から示し、論文を作成する。 (5) シグナルペプチドまたはシグナルアンカー、膜貫通領域およびC末端配列のパターンから、細胞内局在経路を予測するバイオインフォマティクスツールを開発して公開し、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
国内学会(日本生物物理学会・日本分子生物学会)および国際学会(FEBS 2020・ICFD 2020)がオンラインに変更され、旅費の支出を行わなかったため
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