2021 Fiscal Year Research-status Report
膜タンパク質の段階的な細胞内局在化機構の解明と細胞内局在化経路予測法の確立
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18K11537
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
池田 有理 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (30371082)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越中谷 賢治 明治大学, 研究・知財戦略機構(生田), 研究推進員 (90806499)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオインフォマティクス / 細胞分子生物学実験 / 膜タンパク質 / 膜貫通領域 / 細胞内局在経路 / 膜交通 / 糖鎖修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該研究課題では、I型・II型の膜タンパク質を対象として、シグナルペプチド・膜貫通領域や、シグナルアンカー配列・末端タグ配列から細胞内局在経路ごとの特徴を抽出し、判別解析を行うことにより、膜タンパク質の細胞内局在化の各段階において細胞内局在性を決定している要因を明らかにする。また、GFP融合タンパク質発現細胞を用いた各要因の検証実験を併せて行う。さらに、上記で得られた各要因を利用して細胞内局在化経路を予測する方法を開発し、Web公開を行う。 上記の研究目標に照らし、令和3年度は以下を実施した。 (1) AAindexを用いて、II型膜タンパク質における膜貫通領域周辺配列のアミノ酸配列解析を行い、細胞膜を局在化経路に持つタンパク質の認識・仕分け機構の調査を行った。その結果、細胞膜局在タンパク質では膜界面に出現するアミノ酸の二次構造選択性・電荷の出現傾向が特徴的であった。 (2) 小胞体局在性タンパク質の細胞内局在経路による分類を行い、生合成された後に小胞体にとどまるタンパク質群と、いったんゴルジ体やそれ以降まで輸送された後に小胞体に逆輸送されるタンパク質群とで、配列の特徴を比較した。その結果、逆輸送グループには小胞体局在シグナルの存在があるほか、膜貫通領域はむしろゴルジ体局在タンパク質のアミノ酸出現傾向と類似しており、認識機構と局在経路との関係づけができた。 (3) 糖タンパク質の細胞内局在性と、糖鎖修飾の糖種の関連性を調査したところ、糖種から局在経路を類推できることがわかった。また、糖転移酵素の細胞内局在性を調査し、細胞内局在経路と糖種のマッピングを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画のうち、論文投稿が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) I型膜タンパク質シグナルペプチド配列および膜貫通領域周辺配列の特徴を用いた細胞内局在性の判別を行う。また、そのルールをもとにモデル配列を設計し、GFP融合タンパク質を作製して検証実験を行い、論文を作成する。 (2) II型膜タンパク質のシグナルアンカー領域とI型膜タンパク質のシグナルペプチド領域およびI型膜タンパク質の膜貫通領域とその周辺配列の比較を行った結果を論文にする。 (3) II型膜タンパク質のシグナルアンカー領域とGFPの融合タンパク質の発現ベクターを9パターン作製し、HeLa細胞で発現させ、GFP蛍光を共焦点レーザー顕微鏡で確認したところ、小胞体膜・ゴルジ膜・細胞膜への局在化には膜貫通領域周辺配列が本質的であることを示すことができた。この内容を論文にする。 (4) 小胞体局在性のI型膜タンパク質のうち、C末端に小胞体停留シグナルを持つタンパク質と持たないタンパク質に分類し、小胞体停留シグナルを持つタンパク質の膜貫通領域がゴルジ体局在性の配列パターンであることを、バイオインフォマティクスと検証実験から示し、論文にする。 (5) シグナルペプチドまたはシグナルアンカー、膜貫通領域およびC末端配列のパターン、修飾された糖種から、細胞内局在経路を予測するバイオインフォマティクスツールを開発して公開し、論文にする。
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Causes of Carryover |
国内学会および国際学会がオンラインに変更され旅費の支出を行わなかったため
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