2018 Fiscal Year Research-status Report
評判情報サイトのレビュアー評価を用いた製品/サービスの適正な価値の推定
Project/Area Number |
18K11554
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
山田 和明 東洋大学, 理工学部, 准教授 (80345149)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 評判情報サイト / レビュアー評価 / 製品/サービス / 価値推定 / 粒子フィルタ / レプリカ交換法 / 自己組織型状態空間モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
ECサイトなどの発展により,消費者は企業や個人が提供する製品やサービスを手軽に利用している.しかし,消費者は全ての製品やサービスの詳細な情報を入手することが難しいため,それらの価値を適正に評価することが困難になった.そのため,消費者が実際に利用した製品/サービスのレビュアー評価やレビューを自由に投稿・共有できる評判情報サイトが注目されている.しかし,全ての消費者が常に正しく製品/サービスの適正に評価できるとは限らない.そこで本研究では,投稿された多数のレビュアー評価からか製品/サービスの適正な価値を推定する手法の開発を目指している.
本研究は,次の5つのパートから構成されている.まず,(1) 実際の評判情報サイトから実データを収集・分析し,次に,(2) 多数のレビュアー評価から製品/サービスの適正な価値の推定手法を開発する.そして,(3)では ,(2)の推定手法の有効性を検証するために,評判情報サイトの仮想シミュレータを作成し,(4)では,(2)と(3)を統合した評判情報システムを開発する.最後に,(5)において,(1)と(4)の結果を比較し,提案手法を繰り返し改善することで,多数のレビュアー評価から 製品/サービスの適正な価値を推定する手法を確立する.
2018年度は,(2)の製品/サービスの適正な価値の推定手法の開発において,粒子フィルタの期待値を求める際,従来の加重平均の代わりにレプリカ交換法によるMCMC法を用い,推定精度の向上を試みた.そして,(3)の仮想シミュレータの作成では,ユーザが製品/サービスを評価する過程を実際のユーザに近づけるために,ユーザの事前期待の影響を考慮したシミュレータを作成した.また,(2)と(3)の成果は,2018年11月に富山で開催された学術講演会,および,2018年7月にナポリで開催された国際会議において報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は,上記5つの研究パートのうち下記の(2),(3)を中心に進めており,概ね計画通りに進捗している.
(2) レビュアー評価から製品/サービスの適正な価値の推定手法の開発:評判情報サイトのレビュアーは常に正確に製品/サービスの価値を推定することは困難である.そのため本研究では,多くのレビュアー評価から粒子フィルタにより適正な価値を推定する手法を開発している.粒子フィルタはノイズを含むセンサ入力からシステムの真の状態を推定する手法である.粒子フィルタはシステムの状態空間に多数の粒子を散布し,実際に得られた観測値に基づいて粒子をリサンプリングすることで,システムの状態を表す確率分布を近似できる.本研究では,確率分布からシステムの状態を推定する際,従来の加重平均の代わりにレプリカ交換法によるMCMC法を用いることで,推定精度の向上を図った.計算機実験の結果,近似した確率分布の峰の形状により推定精度にばらつきが発生した.そのため,確率分布の峰の形状により推定方法を切り替えることが有効だと考えられる.
(3) 評判情報サイトの仮想シミュレータの開発:従来の仮想シミュレータでは,ユーザが製品/サービスの価値を評価する意思決定過程を,実際の価値より高く,あるいは,低く評価するようモデル化していた.しかし,実際のユーザは,製品/サービスを利用する前の事前期待に対し,実際に得られる満足度が,事前期待 < 満足度であれば高く評価し,その逆は,低く評価することが知られている.そこで,事前期待を考慮したシミュレータを開発し,ユーザが繰り返し製品/サービスを評価した場合,製品/サービスの評価とユーザの満足度の時間変化を分析した.その結果,レビュアーの集団に,事前期待と満足度のギャップに敏感なユーザが多数含まれていると,製品/サービスの価値は実際より高く,あるいは,低く評価されることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は,2018年度の結果を踏まえ,引き続き(2)の粒子フィルタの推定精度の向上を図り,(3)の仮想シミュレータ上で扱うユーザと製品/サービスの数を増やして実際の評判情報サイトを模擬できるよう改良する.また,前述の5つの研究パートのうち,(1)の実際の評判情報サイトから実データを収集・分析し,(4)において,(2)の推定手法を(3)の仮想シミュレータに統合した評判情報システムの開発を進める予定である.
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Causes of Carryover |
○ 当該助成金が生じた状況:2018年度は,3月の研究会で成果報告するために,旅費や学会参加費などを確保していたが,予定より経費がかからなかったため,次年度使用額が生じた.
○ 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画:2019年度は,当初の計画通り,備品や消耗品(PC周辺機器など),研究会などの旅費,人件費・謝金,その他(学会参加費など)を適切に執行する予定である.次年度使用額の19,132円は旅費として使用する予定である.
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