2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of model courses and educational materials for popularizing program visualizing tool TEDVIT
Project/Area Number |
18K11567
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
伊東 幸宏 静岡大学, 情報学部, 特任教授 (20193526)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 達裕 静岡大学, 情報学部, 教授 (30234800)
小暮 悟 静岡大学, 情報学部, 准教授 (40359758)
野口 靖浩 静岡大学, 情報学部, 講師 (50536919)
山下 浩一 常葉大学, 経営学部, 准教授 (30340110)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | プログラミング教育 / 学習教育支援システム / 可視化 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度における主要な研究成果は以下の通りである。 (1)プログラム挙動可視化システムTEDViTを用いたC言語ポインタ学習用教材の開発と評価:C言語初学者がしばしば困難を感じるポインタの取り扱いについて、ポインタを扱うプログラムの挙動を視覚化し、またGUI上のオブジェクト(通常変数、ポインタ変数、ポインタによる参照を意味する矢印など)を学習者がダイレクトマニピュレーションすることによって自らの理解を確認できる学習教材を作成した。これは本研究の目的であるモデル授業・モデル教材の設計製作の一例となる。 (2)プログラム挙動可視化システムTEDViTの拡張による学習者プログラムの挙動視覚化機能の実現とこれを用いたモデル授業の実践:TEDViTの基本機能は教師が作成したサンプルプログラムの挙動を可視化することであるが、これを学習者が一定の自由度の範囲内で作成したプログラムの挙動を可視化できるよう拡張した。またこの拡張システムを大学の実授業に導入し、システムのロバストネス、ユーザビリティ、主観的な学習効果について実験的に評価し、肯定的な結果を得た。これにより(1)とは異なる目的の授業におけるモデル授業・モデル教材を開発した。 (3)プログラミング中の学習者の行き詰まりを検出する機構の開発:TEDViTによるプログラミングに困難を感じる学習者の支援を充実させることが可能であるという考えから、プログラミング中のソースコードの編集プロセスをリアルタイムで観察して行き詰りの徴候を検出する機構を開発した。これは来年度以降に計画されているTEDViTを用いた教育実践に組み込む予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度においては、上記の通りC言語におけるポインタの学習をテーマとした初学者向け授業と、大学のプログラミング演習におけるTEDViTを用いたモデル授業の開発と教材の開発、教育実践に基づく評価を行い、肯定的な評価を得た。これらについては査読付き国際学会に投稿し、2件の論文として採録されている。研究初年度で査読付き国際学会に採択されたことは、当初の予定よりも順調に研究が進展していると評価できる。その他、オブジェクト指向言語であるJavaプログラミング学習へのTEDViTの導入のための検討、セキュアプログラミング学習へのTEDViTの導入のための検討、プログラムのテスト容易性を意識したプログラミング手法の学習へのTEDViTの導入のための検討を進めているが、これらは査読付き論文として投稿するには至っていない。令和元年度以降の対外発表をめざすものであり、研究初年度としては順調な進展といえる。 一方、当初計画していたTEDViT用教材開発ツールについては、平成30年度に開発した教材の範囲では既存ツールで十分に開発できたため、ツールの機能改善に対する特段の強い需要が認められず、そのため要求仕様が明確になっていない。従ってこの点については研究計画通りの成果にはなっていないといえる。 以上をまとめると、モデル授業と教材開発・実授業への導入については予定以上の成果を挙げているが、TEDViT用教材開発ツールについては進捗が乏しいため、総合的には「2おおむね順調に進展している」と評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和元年度から2年度までは、研究計画調書に記載した当初の研究計画通り、A)モデルカリキュラムの蒐集とモデル授業計画の設計、(B) TEDViTを用いたプログラミング教育の方法論の明確化、(C) 教材データライブラリの構築、(D) オーサリングシステムの開発、(E) 実授業への試験的導入と評価、という5項目を中心に検討を進める。特に元年度においては、上記(A)(B)(C)(E)に関連して、オブジェクト指向言語であるJavaプログラミング学習へのTEDViTの導入のための検討、セキュアプログラミング学習へのTEDViTの導入のための検討、プログラムのテスト容易性を意識したプログラミング手法の学習へのTEDViTの導入のための検討を進め、モデル授業の設計、モデル教材の開発、実授業への導入を行う予定である。ただし(D) オーサリングシステムの開発については、上述の通り現状の教材開発ツールでもある程度までは現在想定している教育実践に不自由がないため、今後も同様の状況が続くならば、研究計画の重点項目から除外することも視野にいれつつ検討を進める。 令和3年度・4年度については現時点では当初の研究計画に変更の必要は認められないため、予定通り上記(E) 実授業への試験的導入と評価を軸に、さらなる授業改善のためのPDCAサイクルを実行し、その過程で必要に応じてシステムの機能拡張や教材の拡充を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由) 研究分担者一名がスケジュールの都合で予定されていた学会に参加できなくなり、旅費として執行する予定の予算が未使用となったため。 (使用計画) スケジュールを調整し、参加する学会を策定して研究調査を計画する。今年度の成果が途中段階を含めて学会発表にふさわしいと判断されたときには、研究発表を優先して計画する予定である。
|
Research Products
(4 results)