2020 Fiscal Year Research-status Report
アクティブラーニングとe-learningによる小学生用防災教育カリキュラム開発
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18K11583
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
森 博彦 東京都市大学, 情報工学部, 教授 (10247124)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 防災教育 / ハザードマップ / 認知地図 / 発達過程 / アクティブラーニング / e-learning |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究には2つの目的がある。一つは小学生児童向けの防災カリキュラムの開発とその効果の検証、もう一つは児童の認知地図の発達過程の解明である。 2020年度は小学生児童向けの防災のカリキュラムの開発を行ったが、COVID-19感染拡大の影響を受けて、実際に授業を実施することはできず、検証には至らなかった。そのため、2020年度は昨年度と一昨年度に収集したデータをもとに、児童の認知地図の発達過程の解明の研究にのみ行った。描いてもらった地図は、児童とその父兄に自宅から近くの駅2つを含む地図である。 まずは大人が描いた地図と子供の描いた地図の比較を行った。以前も分かったように大人の地図は交差点の道がずれていても十字に描く傾向にあるのに対し、児童は正確に描く傾向のように、発達過程で街を抽象化していく傾向がみられた。 また、児童によって発達度合いが違うことが地図を見ていても明らかなことから、地図を書かれているエリアの広さや正確さで分類し、それらを発達の度合いとしてとらえた。その結果、ただ自分の目につくものをランドマークとして設定する(例えばマンションとだけ書いてある)ことから、お店の名前など他人の視点から見てもランドマークになりうるものへと発達していくことがわかった。また、描く地図の詳細具合とエリアの広がりにも関係があり、詳細な街の地図を把握しながら、自分が認識できるエリアを広げていっていることがわかった。 また、児童の描いた地図は発達程度により単純な地図から一旦正確な地図へと変化している。しかし大人になるとそれが抽象化される。この変化についてどのように発達していくのかをさらなる分析でとらえたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
認知地図の発達過程の研究については、着実に様々な現象をとらえていっている。しかしその反面、児童向け防災カリキュラムの開発は、COVID-19感染拡大の影響を受けて実験を行うことができず、また、アクティブラーニングとしての町探索も実施することができず、そちらの検証ができなかった点が計画より遅れている点である。
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Strategy for Future Research Activity |
この報告書を記載している時点で東京には緊急事態宣言が発出されている。感染状況がよくなり、児童にリスクが小さくなり次第、小学校と授業についての詳細な時期と計画を立て、児童向け防災カリキュラムの実施とその効果の検証を行いたい。 また、その時点でさらに広域な地図を児童と保護者に描いていただき、それを解析していきたい。特にランドマークと地図の広がりの関係、地図の詳細さとランドマークの関係、そして方向性の正確さや抽象化の仕方を中心として、解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
2020年度はCOVID-19感染拡大のため緊急事態宣言が発出された。それにより実験協力先である新宿区立愛日小学校は5月まで休校となり、全体の授業に大きな遅れが生じた。本研究で作成している防災カリキュラムは総合の時間に2時間を6回として計画していたが、総合の時間を大幅に縮小し、他の科目の遅れの取り戻しに用いられた。 また、本研究での防災カリキュラムはアクティブラーニングを前提としているため、フィールドワークを数回行う。しかし、その時期に児童たちを街に出させることは感染リスクを高めることになり、学校側と相談の上、すべての実施を見送った。 実験自身が中止となったため、実験時に使用するカメラやタブレット端末を補充する必要はなくなり、計画と実際の使用額が大きく異なることになった。 2021年度は小学校での実験を前提に現在学校側と打ち合わせを進めている。フィールドワークの際、班数分の無線ルータをレンタルする必要がある。また、班数によってはタブレット端末の補充、また、小学校側からARやVRを使った災害体験を授業の一環として取り入れること期待されているので、シースルー型のヘッドマウントディスプレイを購入する必要もある。
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