2019 Fiscal Year Research-status Report
楽譜の音符列から,人間が演奏時に付加する感性情報を推量し演奏テンポを推定する
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18K11598
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Research Institution | Morioka College |
Principal Investigator |
川村 暁 盛岡大学, 文学部, 准教授 (40347919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 等明 岩手大学, 教育学部, 教授 (00220666)
劉 忠達 石巻専修大学, 理工学部, 助教 (00782533)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 感性情報処理 / 被験者実験 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 被験者実験用のデータの充実 全日本吹奏楽コンクール課題曲のフルスコアもうち,解釈が難しく被験者実験用の旋律が完了していなかった楽曲を移調し実験データとした.解釈が難しい楽曲は作曲家に譜読みを依頼しデータ化する旋律を取り出した.また,コンサートの目玉となるような大曲と呼ばれる楽曲からも旋律を取り出しデータとした.この結果,今年度生成した旋律は223個となった.データ数は合計718個である. 2 被験者実験 昨年度に引き続き被験者実験を行った.令和元年度終盤から新型コロナウイルス感染症の影響で被験者実験実施に支障が出ている. (3) 経過を国際学会等で発表 楽譜を数値データとし,複数の機械学習アルゴリズムでテンポの分類を行った結果,テンポが遅い場合は認識率が低く,特に,同じデータを異なるアルゴリズムで共通に誤認識するものがあった.同じ曲から異なる部分をとって作成したデータでも,正しくクラス分類するデータとクラス分類出来ないデータがあることは興味深い.K近傍法と単純ベイズ分類器は,テンポが遅いクラスの認識率は0%の場合があった.これに対し多層パーセプトロン,サポートベクターマシン,畳み込みニューラルネットワークなど非線形分離可能のアルゴリズムは学習が成功しており,評価データの認識率も高い.また,被験者の1970年代の吹奏楽コンクール課題曲のテンポ分類について解析した結果,旋律の取り出し元の楽曲がマーチ様のテンポの場合はマーチ様のテンポを推定し,それ以外の旋律は楽器演奏者によりばらつきが大きい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
楽譜の感性情報処理で用いることのできる標準的な楽譜データ(基礎的データ)が存在しないため,実験に用いる旋律の楽曲から抽出し,718個の旋律をデータとした,作成した旋律を被験者実験により感性情報を得た. 予備的な実験として,データの一部を用いた実験により,多層パーセプトロン,サポートベクターマシン,畳み込みニューラルネットワークが楽譜の感性データ処理に適していることが示された.とくに,K近傍法と単純ベイズ分類器など,一般的に用いられる機械学習アルゴリズムにおいて,評価データのテンポの遅いクラス分類が出来ないかったことは興味深い. また,被験者実験で得られた感性情報そのものの分析を試みている.とくに,旋律を取り出した曲の種類がマーチ様のテンポの場合,被験者は,マーチ様のテンポと回答している.マーチ以外の楽曲では,被験者により解釈が分かれる場合が考えられるが,マーチにおいては被験者の回答したテンポは120前後であり,大きく外れた例はなかった. これらの結果について,国際会議等で聖歌を発表している.
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Strategy for Future Research Activity |
被験者実験で得られた感性情報を用いて,被験者が旋律から推定したテンポなどを機械学習で模擬することを試みる.新型コロナ感染症の影響で被験者を追加しにくい状況にあるので,吹奏楽器演奏者による被験者実験は難しい状況にある.よって,データセットの拡充及び計算機実験を実施する.昨年度の計算機実験結果から,機械学習で用いられる手法のうち,多層パーセプトロン,サポートベクターマシン,畳み込みニューラルネットワークが適していることが明らかになっており,これらを用いて実験を行う.比較のために,機械学習で一般的に用いられる決定木に基づく方法(Random forest等)との比較も行う. 被験者実験の結果の分析を,作曲家など音楽の専門家と共同で行うことで,人間の感性情報処理についての考察も進める.
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で,研究打ち合わせおよび吹奏楽器による被験者実験が出来なくなったため.研究打ち合わせのための旅費支出が減少し,被験者実験の謝金支出が想定より減少した.
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Research Products
(3 results)