2020 Fiscal Year Research-status Report
パッシブサンプラーを用いた温泉水中溶存ガスの時空間分布の観測
Project/Area Number |
18K11614
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高畑 直人 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (90345059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴田 智郎 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80446369)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 溶存ガス / 地下水 / 地震 / 火山 |
Outline of Annual Research Achievements |
地下水に溶存する気体、特に希ガスや炭素といった揮発性元素は、地震や火山の活動を調べるのに適している。その時間的・空間的変化は、地下構造の変化や深部流体の付加に影響されるため、観測する意義は大きい。本研究の目的は、水中で気体のみを透過する気体透過膜を使ったパッシブサンプラーを用いて、地下水井戸の任意の深さで地下水溶存ガスを観測することである。 昨年に引き続き大分県別府市にある深さ300mの京都大学の試験温泉井戸で溶存ガス試料を採取した。採取した深さはこれまでと同じ50m間隔の6点で、採取した時期はこれまでと同じ夏に行なった。これにより溶存ガス組成の空間分布に加えて、その経年変化も調べることができるようになった。回収したサンプラーは鉄製のクランプで銅管を密封し実験室に持ち帰って分析を行なった。これまでと同様に高温高圧の条件下でもサンプラー内部に水は入らず、分析結果からは溶存ガスともともと銅管に入っていた空気の入れ替わりがうまくいっているように見えた。このことから本研究で用いたサンプラーによる試料採取は、地下水溶存ガスを任意の深さで観測するのに適していることがわかった。この方法は電力を必要とせず、採取器具は小さくて持ち運びが楽であり、ただ水中に入れるだけの簡単操作で誰でも扱えるため、井戸だけでなく湖沼などでの試料採取にも応用できる可能性を秘めている。さらにパッシブサンプラーに採取した溶存ガスは、採取した状態で長期間保存できることを確認した。採取後すぐに分析しなくてもヘリウムでさえも容器内に保たれていた。このことからこのサンプラーは優れた保存容器にもなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度も深さ300mの試験温泉井戸で試料採取を行なうことができ、ヘリウムや炭素の同位体の鉛直分布が得られ、予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた分析結果から、ヘリウムや二酸化炭素の濃度・同位体比の時間的・空間的変化を調べ、その変化から溶存ガスのフラックスや温泉水の流動について考察する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染対策により研究活動が大きく制限され、研究期間を1年延期することとした。使用計画について大きな変更はない。
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[Presentation] Seawater chemistry and helium isotopes in the Tatar Strait, Far Eastern Federal District, Russia2020
Author(s)
Snyder G., Yatsuk A., Takahata N.,Shakirov R., Kakizaki Y., Tomaru H., Tanaka K., Obzhirov A., Sano Y., Matsumoto R.
Organizer
AGU Meeting 2020
Int'l Joint Research
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