2021 Fiscal Year Research-status Report
腐植ーアルミニウム複合体の安定性はどこからくるのか?
Project/Area Number |
18K11622
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
柳 由貴子 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (20412819)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗酸化作用 / 腐植酸 / アルミニウム / 複合体形成 / 構造特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
土壌の炭素蓄積機能にはアルミニウムー腐植複合体(AlーHS)の関与が大きいと考えられている。そこで本研究課題では,「複合体形成によるHSの化学的安定性の増大」という点に着目して検討を行うものである。 R3年度は,調製したAlー腐植酸複合体(AlーHA)を用いて,AlーHA安定化メカニズムの一つの候補として考えられるAlとの結合による腐植酸の抗酸化作用の増大について焦点を当てて検討を行った。その初段階として構造の異なる6種類の腐植酸を用いて、DPPHラジカル消去法およびスーパーオキシド消去法による抗酸化作用を測定した。その結果、いずれの腐植酸も供試濃度の増大に伴い抗酸化能は増大することが示された。DPPHラジカル消去法では、主にH/C比、脂肪族C割合と負の相関、および芳香族度と正の相関が認められ、DPPHラジカル消去に脂肪族構造の関与が推察された。一方、スーパーオキシド消去法では、主にH/C比、フェノール含量と正の相関、およびO含量、O/H比と負の相関が認められ、スーパーオキシド消去に酸素官能基の関与が推察された。Alと腐植物質の複合体形成にはカルボキシル基を主とした酸素官能基の関与が推定されていることから、スーパーオキシド消去能の低下が予想された。抗酸化剤は一般的にそれ自身が酸化されることにより物質の酸化を防止するものであるため、Alとの複合体形成により腐植酸の抗酸化能の低下が腐植酸の分解の抑制につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗酸化作用の測定法の検討に時間がかかった為、最終目的のAl腐植複合体の抗酸化作用の測定まで到達しなかった。その為やや進捗は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Al腐植複合体の抗酸化作用を測定し、その安定性への影響度を評価すること。また、R3年度はコロナ感染症拡大の影響から控えていた学会等への参加を行い、成果の公表を行う。
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Causes of Carryover |
参加予定の学会等にコロナ感染症拡大の影響から参加できなかった。また、オンライン開催であったことから計上していた旅費を使用しなかった為次年度使用額が生じた。その為R4年度の成果公表のための出張旅費として使用予定である。
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