2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the surface deposition of radionuclides derived from the Fukushima Daiichi nuclear accident
Project/Area Number |
18K11633
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
兼保 直樹 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (00356809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
忽那 周三 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 上級主任研究員 (60344131) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 放射性核種沈着 / 雲水沈着 / ヨウ素 / 乾性沈着速度 / 地表面沈着 / 表面抵抗 / 雲底高度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年3月15日の放射性物質大量放出で形成された関東地方北部~東北地方南部の山岳地帯での放射能汚染域に対する雲水沈着の寄与の判定を行うため、NTTドコモ社が携帯電話基地局に当時設置していた花粉センサーのうち、福島県・栃木県・茨城県内の72地点におけるデータを解析した。同日午後、当該山岳域の標高1000m以上の地点では高い数濃度の雲粒の存在が確認されたが、これらの地点はMETX航空機観測結果による137-Csの高沈着域の外側あるいは辺縁部に位置していた。一方、標高568~842mに位置する地点では中程度の数濃度の雲粒が測定され、これらの地点は 137-Cs高沈着域内に位置していた。以上の結果と雲水組成の鉛直分布に関する過去の知見と併せると、放射性エアロゾルを含む雲核から形成された雲粒は雲底付近に集中しており、時間とともに雲底高度が下がるに連れて、雲底部が通過した特定の高度帯の山肌において雲水沈着による放射性物質の汚染域が形成されるメカニズムが示唆された。 また、住民の初期被曝量の算定において重要となる放射性ヨウ素の乾性沈着速度に関する基本データを得るため、5種類の粘土鉱物試料と1種類の土壌試料について、ヨウ素分子の取込み速度とその反応条件依存性を実験的に測定し、その地表面抵抗を評価した。反応容器にヨウ素分子(I2)を矩形パルス状に導入、反応容器通過後のヨウ素分子の可視吸収スペクトルを測定し、I2気相濃度の時間変化を求めた。粘土鉱物試料と接触した試料ガスのI2残留率はブランクより明白に減少し、I2が粘土鉱物に不可逆的に取り込まれて消失することがわかった。土壌表面抵抗の推定値は大気輸送拡散モデルで一般的に使用されている値より大きく、葉表面への抵抗も大きい相対湿度20%では、夜間に放出されたI2の地表面抵抗は日射前後で異なる扱いをする必要があることがわかった。
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