2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11639
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
黒谷 賢一 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 特任講師 (10402778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 泰由 名古屋大学, 環境医学研究所, 講師 (60762383)
荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
嶋田 繭子 名古屋大学, 環境医学研究所, 技術補佐員 (80623834)
唐田 清伸 名古屋大学, 環境医学研究所, 客員研究者 (90345017) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DNA損傷応答 / インタラクトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA損傷応答 (DNA damage response, DDR)はゲノムの安定化に極めて重要な反応である。DDR蛋白質の細胞内での機能を理解するためには、蛋白質-蛋白質間の相互作用 (Protein-protein interaction, PPI)ネットワークを詳細に知る必要がある。本研究では、精密質量分析装置を利用した、ヒト細胞におけるDDR蛋白質の網羅的インタラクトーム解析を実施する。新規のDDR蛋白質の同定ならびにその機能解析を実施することで、DDRの理解を深めることを目的とする。 2019年度は、インタラクトーム解析を生理的条件下で実施するために、ゲノム編集技術を利用し、標的遺伝子のC末端領域にタグ遺伝子配列と薬剤選択遺伝子配列の導入を行った。その結果、ゲノム編集後に細胞内で比較的高コピー数の蛋白質 (蛍光顕微鏡にてmCloverのシグナルで判断)を発現する遺伝子を複数見出した。 ゲノム編集により、mClover配列とともにStrep配列を挿入しており、Strep-Tactinシステムを用いて、標的蛋白質を濃縮するための条件検討を行った。しかしながら、精密質量分析装置を用いた網羅的インタラクトーム解析に十分な標的蛋白質の量を回収することができなかった。解析に必要な十分な標的蛋白質量を確保するためには、解析細胞数の増量、もしくはStrep-Tactinシステムによるプルダウン効率の上昇が必要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
網羅的インタラクトーム解析を内在性蛋白質に対して実施するために、ゲノム編集技術を利用した、mClover、Strep、薬剤耐性遺伝子の導入を実施した。その結果、複数の標的遺伝子に対するゲノム編集をDNA/蛋白質レベルで確認することができた。標的遺伝子に対するゲノム編集が確認された細胞に対して、Strep-Tactinシステムを用いたプルダウン法を実施したが、精密質量分析装置を用いた網羅的インタラクトーム解析に十分な標的蛋白質量を確保することができなかった。標的遺伝子の細胞内での発現量が低い場合においても、網羅的インタラクトーム解析に必要十分な蛋白質量を確保するための条件検討を実施する必要性が出たため。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、ゲノム編集が確認された細胞から蛋白質を抽出し、精密質量分析装置を用いた網羅的インタラクトーム解析に十分な標的蛋白質量を確保するための条件検討を実施する。Strep-Tactinシステムを用いたプルダウン法の効率を上げるため、現状のStrep配列1個からタンデムに2個並べたコンストラクトを作製する。また、解析細胞数についても条件検討を行う。外来遺伝子を細胞へ導入し発現させた蛋白質に対しても、インタラクトーム解析の実施準備を行う。網羅的インタラクトーム解析に必要な蛋白質を安定して回収することが可能となった後に、精密質量分析のためのサンプル調整について条件検討を実施する。DDR蛋白質のインタラクトーム解析により、新規蛋白質-蛋白質間相互作用、ならびに機能未知の蛋白質との相互作用が検出された際には、分子生物学的手法を用いた解析を実施する。具体的には、標的蛋白質に対する抗体を用いた免疫沈降法により、質量分析装置で得られた実験結果の確認を行う。また、機能未知蛋白質の細胞内で役割を検討するため、siRNA法ならびにゲノム編集技術により機能喪失させた細胞を作製し、DDRへの関与の有無を検討する。
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Causes of Carryover |
当初は、精密質量分析装置を用いたインタラクトーム解析を実施し、解析候補となる遺伝子の分子機能解析ならびに個体レベルでの実験を予定していた。しかしながら、候補の絞り込みに至っていないため、次年度に使用することとした。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Ubiquitination of DNA Damage-Stalled RNAPII Promotes Transcription-Coupled Repair2020
Author(s)
Nakazawa Y, Hara Y, Oka Y, Komine O, Heuvel D, Guo C, Daigaku Y, Isono M, He Y, Shimada M, Katoh K, Jia N, Hashimoto S, Kotani Y, Miyoshi Y, Tanaka M, Sobue A, Mitsutake N, Suganami T, Masuda A, Ohno K, Nakada S, Mashimo T, Yamanaka K, Luijsterburg M, Ogi T§.
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Journal Title
Cell
Volume: 180
Pages: 1228~1244.e24
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 転写共役ヌクレオチド除去修復機構に重要なRNAポリメラーゼユビキチン化部位の同定2019
Author(s)
中沢由華, 原雄一郎, 岡泰由, 小峯起, Diana van den Heuvel, 郭朝万, 大学保一, 磯野真由, 何予希, 嶋田繭子, 加藤香奈, 賈楠, 橋下悟, 小谷祐子, 三好由夏, 田中都, 祖父江顕, 光武範吏, 菅波孝祥, 増田章男, 大野欽司, 中田慎一郎, 真下知士, 山中宏二, Martijn S. Luijsterburg, 荻朋男.
Organizer
第42回日本分子生物学会年会
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[Presentation] ChIP-seqを利用したDNA損傷およびヌクレオチド除去修復のモニタリング2019
Author(s)
原雄一郎, 中沢由華, 岡泰由, 小峯起, Diana van den Heuvel, 郭朝万, 大学保一, 磯野真由, 何予希, 嶋田繭子, 加藤香奈, 賈楠, 橋下悟, 小谷祐子, 三好由夏, 田中都, 祖父江顕, 光武範吏, 菅波孝祥, 増田章男, 大野欽司, 中田慎一郎, 真下知士, 山中宏二, Martijn S. Luijsterburg, 荻朋男.
Organizer
第42回日本分子生物学会年会
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