2022 Fiscal Year Research-status Report
デザインされた誘発Dicによる微小核/クロモトリプシス形成過程の解析
Project/Area Number |
18K11647
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
津山 尚宏 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (10335747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 悠 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00722472)
柳 亜希 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60803525) [Withdrawn]
坂井 晃 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70284221)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 二動原体染色体 / 微小核 / クロモトリプシス / 放射線発がん / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
電離放射線がゲノムDNAに引き起こすDNA二本鎖切断(DSB)の一部は、異なった切断端が再結合した場合に染色体転座や二動原体染色体などの染色体異常となる。一つの染色体に2つのセントロメアを持つ二動原体染色体および同時に生じる染色体断片は、細胞分裂終了後に細胞核に取り込まれることなく微小核(MN)形成を形成することが多く、微小核は細胞質の自然免疫応答機構を介して炎症応答を惹起し、次の細胞周期で核内に取り込まれ修復されることにより複雑に融合した異常染色体(クロモトリプシス)の原因となる。 この経路を効率よく解析するために誘導実験系の確立を試みている。前年度までに作成したiCre-loxPあるいはERT2-Creでは、Dicの誘導効率が10^-7程度と低く解析に十分な細胞数を得ることができなかった。他方で一過性導入系のCRISPR-Cas9を用いた染色体異常誘導系として、多発性骨髄腫で観察される11番染色体CCND1遺伝子および14番染色体IgH遺伝子間のt(11;14), 線維形成性小細胞腫瘍の11番染色体WT1遺伝子と22番染色体EWSR1遺伝子間のt(11;22), 非小細胞肺がんの5番染色体CD74遺伝子と6番染色体ROS1遺伝子間のt(5;6)誘導時に、それぞれの特異的転座と同時に同じ組み合わせの二動原体染色体が生じていることをゲノムDNAを用いたPCRにより確認できた。Dicの消長の過程の細胞応答を効率よく調べるため、今後、Dicの生成を蛍光タンパク質の発現でモニターしDicが生じた細胞を単離できる実験系を開発し、遺伝子発現の変化の網羅的解析を試みる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
引き続き臨床検体の染色体解析に時間を要したため
|
Strategy for Future Research Activity |
IgH/CCND1, CD74/ROS1, EWSR1/WT1遺伝子を標的としたgRNAおよびCas9を一過性に過剰発現しmRuby2陽性で発現細胞を選択できるベクターを作成した。さらにDicが誘導されるとプロモータートラップによりGFPが発現するよう、PGK promoterあるいはGFPをそれぞれの遺伝子内にノックインし、CRISPR/Cas9導入後のGFP+細胞をソーティングすることによりDic生成細胞を単離し解析可能なHEK293細胞を作製し、Dic誘導を行っている。同時に相同組換修復/非相同末端結合修復の阻害剤処理などを行い、誘導を試みる。解析はRT-PCRによる遺伝子発現の変化、微小核の出現頻度などを、細胞周期分布や細胞死頻度などとともに継時的に解析をする。
|
Causes of Carryover |
臨床検体の染色体解析に時間を要したため本研究が遅れているが、研究計画書の内容に従い、順次解析を進める。
|