2019 Fiscal Year Research-status Report
生活時間の乱れが放射線影響に与える効果とその予防策に関する研究
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18K11651
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 徹夫 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線影響研究部, グループリーダー(定常) (80237271)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光リズム / 放射線影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の解析で光による概日リズム調節に関与する分子であるメラトニンの発現のあるB6C3F1マウス(F1)で変化のみられた代謝因子とmicroRNA分子種の変化に着目して、メラトニン発現のない C57BL/6Jマウス(B6)で同様の条件で代謝因子とmiRNAの発現解析を行った。光周期の変化を使った時差ボケ(光リズム変化は6日単位で行い 、最初の3日間は通常リズム、3日目で8時間昼入りを早めて6日目でもとに戻す。)による処置を行った後に放射線照射行い、もう一度6日間の光リズム変化を与えたのちの7日目に通常の明期入りの時間をZ=0とした時のZ=1,9,17において肝臓組織のサンプリングを行った。そしてF1での解析でみられた特徴と比較した。代謝因子について、Z=1時刻で観察されたF1で特徴的な変化としてみられた照射によるグルタチオン量の増加と時差ボケ群でのその減少の変化はB6でも観察されたが、同じくZ=1時刻で時差ボケ+照射時にみられたメチオニンの減少の変化はB6では観察されなかった。マイクロRNA(miRNA)について特に違いのみられた分子種として、F1でのみ照射群において通常時に比べて時差ボケ群で有意な上昇がみられる肝がんマーカーにもなるmiRNAを見出したが、一方で時差ボケ時の照射による変動で、減少が細胞の増殖阻害に関係する種類のmiRNAの減少がF1でのみみられた。。 また時差ボケモデルの放射線発がん修飾効果をみるためにB6C3F1マウスを用いて長期観察実験を開始した。6日間の光周期の変化による時差ボケによる修飾効果を行った後に放射線照射行い、その後もう一度6日間の時差ボケ修飾を行った翌日から通常時間の明暗期の飼育に戻して観察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにメラトニンの発現のあるB6C3F1マウスにおける代謝物質としてグルタチオンやメチオニンが光リズムの変化による時差ボケストレス(JL)を加えて放射線被ばくをした際に特徴的な変化がみられることがわかった。一方でマイクロRNA(miRNA)に関しても肝がんに関連するmiRNAが変化していた。メチオニンの発現のないC57BL/6Jマウスでは違う変化が見られたメチオニンやmiRNA種では照射によってB6C3F1マウスのような変化がないことから、これらの変化はメラトニンによる制御下にある可能性も高いことが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られたメラトニンを持つB6C3F1マウスの肝臓代謝因子とマイクロRNA(miRNA)において光リズムの乱れ或いは放射線被ばくによる変化がみられた分子種がある。一方でメラトニンを持たないC57BL/6Jマウスでは観察されない変化もあったことから、特に光リズム変化条件下での放射線影響に着目した場合にマウス系統によって変化のあったメチオニンのような代謝因子やmiRNA種について、メラトニンの変化への修飾効果や、分子作用機序を解析、またB6C3F1マウスでの光リズムの乱れの条件での放射線被ばく後の長期飼育観察を行い、光リズム変化の放射線影響への修飾効果をまとめ、成果を報告する。
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Causes of Carryover |
研究の進展により購入を考えた試薬の購入には残金が足りなかったため、次年度の助成金と合わせて物品費に充てる予定。
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Research Products
(1 results)