2019 Fiscal Year Research-status Report
乳腺幹細胞の時空間的動態把握に基づく放射線誘発乳がんメカニズム解明
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18K11652
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
飯塚 大輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線影響研究部, 研究統括(定常) (00455388)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳腺幹細胞 / 細胞系譜トレーシング解析 / 組織透明化 / 放射線発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
原発事故などでは、低線量放射線による発がんリスク評価が最重要課題である。しかしながら、100 mSv以下の発がんリスクは明確に示されていない。組織幹細胞は発がんにおける重要な起源細胞であり、低線量被ばくによる幹細胞の挙動を精確に捉えることは、発がんメカニズムに基づく低線量被ばくのリスク解明につながる。 幹細胞動態研究では、近年、幹細胞系譜トレーシング解析技術と組織透明化処理による三次元免疫組織化学的観察技術が確立された。幹細胞系譜トレーシング解析技術は、幹細胞で顕著に発現する遺伝子のプロモーター活性を持つ細胞を標識し、その子孫細胞をマウス体内で追跡する実験手法である。 本研究では、幹細胞系譜トレーシング解析技術と組織透明化処理による三次元免疫組織学的解析技術を用い、幹細胞とその子孫細胞をマウス体内で追跡することで、放射線誘発乳がんメカニズムにせまることを目的としている。 今年度は三次元免疫組織学的解析法の検討を行った。組織透明化については、Clarity(Chung et al., Nature, 2013)、SeeDB(Davis et al, Nat Commun, 2016)、FUnGI(Rios et al., Cancer Cell, 2019)等の手法を用い、マウス乳腺組織を透明化することができた。免疫蛍光染色は前述のDavisらの報告を参考に行うことで、マウス乳腺組織におけるケラチン14やケラチン8などについて共焦点蛍光顕微鏡で可視化することができた。 また、昨年度導入したマウスのうち、ケラチン14のプロモーターの下流にCreリコンビナーゼが発現するマウスと、ConfettiマウスのF1マウスについて、タモキシフェンを投与し、条件検討を行ったが、現時点では蛍光タンパク質を発現する細胞を見出すことができていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度行った三次元免疫組織化学的観察法については、文献等の方法を取り入れることで順調に確立することができた。また、マウス繁殖や維持は時間的に予測を立てることが難しいが、幸いにもすべて予定の範囲を大きく逸脱することなく実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに確立した前述のマウスと観察技術を用い、放射線被ばくによる乳腺幹細胞動態の把握を目指す。放射線被ばく後の乳腺を把握するために細胞増殖マーカーなどを用いた三次元免疫組織化学解析を行うとともに、幹細胞トレーシング解析マウスに対し、放射線被ばくさせ、経時的にマウスから乳腺を採取し、観察を行う。
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Causes of Carryover |
初年度に本研究で使用するマウス導入や維持・繁殖に問題が生じた際の経費を見越した費用を計上していたが、幸いにもすべて予定の範囲を大きく逸脱することなく実施することができ、かつ、今年度は研究実施がおおむね順調だったため、次年度使用額が生じた。この次年度使用額は引き続き必要となるマウスの維持・繁殖ならびに今後解析を行う消耗品等として利用する予定である。
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Research Products
(2 results)