2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of radiation-induced mammary carcinogenic mechanism by capturing spatiotemporal dynamics of mammary stem cells
Project/Area Number |
18K11652
|
Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
飯塚 大輔 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 放射線影響研究部, 研究統括(定常) (00455388)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 乳腺幹細胞 / 細胞系譜トレーシング解析 / 組織透明化 / 放射線発がん |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに確立した細胞系譜追跡マウス実験系と観察技術を用い、放射線被ばく後の乳腺の状態を観察した。具体的には二種類の乳腺上皮細胞のうち、基底細胞で主に発現するケラチン14のプロモーターの下流にCreリコンビナーゼが発現するマウスと、赤色蛍光たんぱく質tdTomatoレポーターマウスのF1マウスに対し、7週齢でタモキシフェンを投与し、放射線照射を行った。2 Gyのガンマ線を照射し、1週間後の乳腺において、組織透明化処理し共焦点顕微鏡で観察した。その結果、tdTomatoタンパク質を発現する基底細胞を観察することができた。細胞増殖マーカーKi-67染色を行ったところ、tdTomatoタンパク質を発現する細胞では、現時点でKi-67陽性細胞を見出すことはできていない。同じ個体から得られた乳腺組織から、酵素処理により乳腺細胞を分離し、特異的な表面抗原マーカーを用いたフローサイトメトリー解析を行ったところ、照射により、基底細胞の割合が減少する傾向を見出した。また、これら細胞集団の細胞周期解析により、細胞周期が回っている細胞を示す、S期とG2/M期細胞が被ばくにより減少する傾向を示した。タモキシフェンはエストロゲン受容体拮抗薬であり、乳腺細胞の増殖などに影響を与える(Shehata et al. Breast Cancer Research 2014, 16:411)ため、結果の解釈に注意を要するが、成体期での放射線照射により、乳腺組織では基底細胞でその割合が減少し、かつ、増殖細胞が減少する傾向にあることが示唆された。引き続き本研究を推進し、放射線被ばく後のがんに至る細胞動態を明らかにする予定である。
|