2020 Fiscal Year Annual Research Report
The role of PKC for unsaturated carbonyl compounds-induced cell injury and disease onset
Project/Area Number |
18K11654
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 恒仁 北海道大学, 医学研究院, 助教 (90453018)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 不飽和カルボニル化合物 / 細胞死 / プロテインキナーゼC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環境中の毒性物質である不飽和カルボニル化合物が、どのようにして細胞傷害(細胞死)を引き起こしてヒトの健康に影響を及ぼしているかを明らかにすることを最終目標としている。不飽和カルボニル化合物によって誘導される細胞死のメカニズムとしては、プロテインキナーゼCが関与していること以外は殆ど分かっていない。そこで本研究計画では、プロテインキナーゼCに着目して研究を進めることとした。 プロテインキナーゼCには10種類のアイソフォームが存在するが、2019年度までの研究成果により、血管平滑筋細胞においてはプロテインキナーゼCアルファおよびデルタが不飽和カルボニル化合物による細胞死に関与している可能性が低いことが分かった。そこで2020年度には、他のプロテインキナーゼCアイソフォームを含めた他の因子の可能性について検討することとした。一部のプロテインキナーゼCは、活性化にカルシウムを必要とすることからカルシウムの関与について検討したところ、細胞内カルシウムキレーターが不飽和カルボニル化合物による細胞死を効果的に抑制することが分かった。更に、不飽和カルボニル化合物を高濃度に含むタバコ煙ガス相が、鉄イオンを介する細胞死であるフェロトーシスを誘導することから、不飽和カルボニル化合物に関しても同様の検討を実施したところ、フェロトーシス阻害薬が不飽和カルボニル化合物に起因する細胞死を抑制できることが分かった。 以上の結果から、不飽和カルボニル化合物によって誘導される細胞死には活性化にカルシウムを必要とするコンベンショナル型のプロテインキナーゼCが関与すること、細胞死の種類は、鉄イオンを介した細胞死であるフェロトーシスであることが示唆された。
|
Research Products
(4 results)