2020 Fiscal Year Research-status Report
新たな海況情報を利用した沿岸域の環境評価とその利用法の開発
Project/Area Number |
18K11668
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
兼田 淳史 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 教授 (70304649)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | モニタリング / 海況情報 / 漁場 / 環境指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度から運営および改良を続けてきた海洋観測では、これまでの経験を活かして3年目にあたる今年度も定置網漁場を中心として観測を実施することができた。この研究では新たな海況情報を模索するため、当初の計画通り、水温や流れといった物理データだけでなくクロロフィル蛍光強度、漁獲量などの生物に関わるデータも収集した。一方で、コロナ禍の影響によりリアルタイム海洋観測ブイを利用した海況情報は、約1ヶ月半遅れの6月下旬から開始することになった。この遅延は残念であったが、安全を優先したやむを得ない判断であったと考えている。海況情報の運用開始後は大きなトラブルもなく、漁師などのユーザへ安定して情報を提供することができた。 データ解析における主要テーマの1つである「シミュレーションや観測技術を使った海洋予報の「読み方」の開発」では、定置網漁場における大漁時、不漁時の沖合の海況の違いについて分析を進めた。定置網漁場における日々の漁獲量データと、その漁場で取得した係留観測データおよび沖合人工衛星の海面高度データ、海況のシミュレーション結果を組み合わせた解析を進め、複数の魚種で大漁時および不漁時に見られる海況の特徴を見いだした。また、二つ目の主要テーマである「音響散乱強度を利用した「海洋環境指標」の開発」では、ADCP(超音波ドップラー多層流向流速計)が流速を計測するときに取得する音響散乱強度のデータの活用を目指した分析を更に進め、データの整理および分析結果のとりまとめ、論文の作成に向けた作業を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既に取得したデータの解析については概ね順調に進んでいるが、コロナ禍の影響により、今年度は観測開始時期が遅れた。そのためデータ収集期間がやや短くなったため、全体としては「やや遅れている」という判断した。 一方で研究期間の延長申請が認められたため、データ収集期間を十分に確保できる目処は立った。成果のとりまとめも更に進めたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響により現時点では当初の計画より観測期間が短くなっているが、上に書いたように研究期間を延長することが認められたので、次年度にも観測を実施することで解決する。次年度の海洋観測においても全項目実施する予定で、いままでの経験を利用して、リアルタイム海洋観測ブイや多項目の海洋観測機器を用いた観測を安定して実施する方針である。 今までに取得したデータの解析は順調に進んでいるので、新たに取得した観測データも速やかに解析データに付け加え、全体的な結果の取りまとめを行う。得られた成果をもとに論文の作成、学会等での成果発表を積極的に行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度利用額が生じた理由は、コロナ禍の影響により計画していた観測や成果発表が一部できなかったためである。次年度には観測および成果発表を実施する計画である。
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Remarks |
・リアルタイム海洋観測ブイの運営 ・いままでの観測データの公開 など、webページにおいて成果の一部が反映されている。
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Research Products
(5 results)