2019 Fiscal Year Research-status Report
Effects of climatic factors on the behavior of disinfectant-produced substances in soil environment
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18K11669
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
高木 敬彦 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30163182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 和俊 麻布大学, 獣医学部, 講師 (00747701)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 土壌 / 塩素系消毒剤 / 反応生成物 / 変異原性 / microsuspension法 |
Outline of Annual Research Achievements |
塩素系消毒剤副生成物(以下、消毒副生成物)の消長に及ぼす環境因子の影響を引き続き検討した結果、6土壌全体の結果では高温下や紫外線照射下における試料の変異原性に低下傾向が認められ、両条件が消毒副生成物の挙動に影響する可能性が示唆されたことは意義のある結果となった。降雨の影響については、当初の研究計画おいて6土壌それぞれをガラス製カラム内に一定量重層して浸透に関する試験に供するため、ランマ-を用いて固める手法などにより土壌構造の再現も検討したが、野外における土壌構造は個々の地点によって異なる可能性が高いなど、実際の土壌構造を再現することは難しいことから、浸透に関する研究は野外での実地試験に変更し、まずは表層から地下への浸透の可能性について単層の消毒剤散布土壌を作製して定期的に蒸留水を滴下することで野外における表層から地下へ浸透の可能性を検討した。その結果、6土壌それぞれを通過して回収された蒸留水から変異原性が検出されたことにより、土壌中の変異原性を示す消毒副生成物は雨水に溶け込み表層から地下に浸透する可能性が示唆された。これらの結果をもとに、野外で試験が可能な場所において、風や太陽光の影響を避ける目的でステンレス製の筒を土壌表面に複数か所立て、それぞれの筒内に消毒剤を散布して放置後、蒸留水の滴下を定期的に複数回行った。最終滴下後は暫く放置し、筒内の土壌表面の蒸留水が浸透したことを確認した。次に筒の側面の土壌を深さ方向に約1m採掘し、筒の下の土壌を横から20㎝間隔で4段階採取した。各層の土壌を溶媒抽出して現在測定中であるが、浸透に関する新たな知見を得られる可能性がある。さらに野外における土壌表層での長期的な挙動の検討も行っており、2地点で散布後に生成された消毒副生成物を含む土壌を定期的に採取する作業も最終採取(散布1年後となる2020年6月)まで終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で使用している3種類の土壌は、土壌分類で確定されたものをそれぞれ協力が得られた公的機関から譲り受けてきた。研究を継続する中で一部の土壌に不足が生じたことから協力を得られた同機関に土壌の再分与を依頼してきたが、一部の土壌が先方の事情により入手が難しくなり、最終的には入手できなかった。このため当施設内の土壌も研究に加えるとともに、研究計画を一部変更して当初の計画に比べ野外試験を増やしたことにより、進捗状況に少し遅れが出ているが、令和元年度までに終了予定の研究内容については令和2年7月末で終了予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、フィールドにおける散布後1年間の消毒副生成物の変異原性の挙動について測定を継続すると共に、主たる変異原性物質についての検索を行っていく。 機器分析による主たる変異原性物質の同定への試みについては,分析用の試料はすでに前処理済みである。共同研究者により測定対象物質の選定はすでに行っており、想定される物質について機器分析による定性を行う予定である。また主たる物質の同定が難航する場合は、検出された物質個々の変異原性測定を行い,消毒剤散布土壌中の変異原性全体への寄与率も明らかすることで主たる物質を選定する。
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Causes of Carryover |
研究計画の一部変更により、令和元年度に行う予定の実験の一部が令和2年にずれ込んだことにより生じた試薬代であり、令和2年度に配分された助成金と共に翌年度分として使用する予定である。
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