2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11673
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
青野 光子 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 副研究センター長 (10202491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐治 光 国立研究開発法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, シニア研究員 (00178683)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オゾン / シロイヌナズナ / ブナ / 植物環境応答 / 環境適応戦略 |
Outline of Annual Research Achievements |
オゾン耐性シロイヌナズナ突然変異系統の解析では、オゾン耐性に直接関与する遺伝子の構造と機能を明らかにすることを目的とする。シロイヌナズナ遺伝子強制発現系統において、既に得られていたオゾン耐性突然変異系統の候補を用いた実験を行った。完全長cDNAを過剰発現させた約3000系統(全遺伝子の12%弱を網羅する)のシロイヌナズナ生態型Col-0のオゾン感受性を調査して得られたオゾン耐性となっている突然変異系統を一系統単離し、導入された遺伝子を特定した。当該遺伝子がオゾン耐性をもたらすことの確認のため、戻し交配により突然変異系統を純化して確立するとともに、Col-0における当該遺伝子の過剰発現株(新規作成)、Col-0における当該遺伝子の欠損株、及び他生態型(Ws-2、Cvi-0)における当該遺伝子の過剰発現株の作製を行った。並行して、当該遺伝子がコードするタンパク質の細胞内局在を調査するため、当該遺伝子の発現調節領域の下流に蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を連結した株の作製も開始した。 関東山地ブナ林由来ブナ実生で働いているオゾン耐性機構の解明では、ブナ実生においてオゾンに応答して発現する遺伝子を見出し、その遺伝子の持つと推定される機能から、ブナで働いているオゾン耐性機構の一端を解明することを目的とする。関東山地である秩父、丹沢各山地ののうち、丹沢山地ブナ林由来の一年生実生を入手し育成した。秩父山地ブナ林では種子の採取を行い、播種したが発芽個体が得られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年秋に秩父山地(東京大学秩父演習林)においてブナ種子あるいは実生の採取を試みたところ、当年は調査地においてブナが不作で、ほとんど開花が確認できず、当年の良好な種子が得られずに採取した種子は古い種子であった。それらを播種し実生を得ようとしたが発芽しなかった。また、調査地はシカが生息しており、ブナ実生はシカにより食べられていて確認できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
オゾン耐性シロイヌナズナ突然変異系統に関しては、オゾン耐性突然変異系統に導入された遺伝子がオゾン耐性をもたらしていることを確認するため、各品種の当該遺伝子の過剰発現株や欠損株のオゾン暴露を行い、オゾンに対する耐性・感受性を調査する。また、当該遺伝子発現産物の細胞内局在をGFP連結株を用いて調べる。当該遺伝子の塩基配列等の情報と合わせ、遺伝子発現産物の機能の推定を行う。 ブナに関しては、2019年には秩父山地において、再度種子、実生の採取を試みる。実生は演習林内でシカ除けの柵が設置してある場所での採取を考えている。丹沢産と秩父産ブナのオゾン感受性やオゾン応答に関連する遺伝子発現の比較等を行う。
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Causes of Carryover |
核酸調整用の試薬で実験材料(ブナ)入手の遅れにより購入しないものがあった。今後購入して実験を進める予定である。
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