2019 Fiscal Year Research-status Report
Innovative Exposure Assessment System for Nano Products to use DMA-GED-ICP/MS.
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18K11677
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 康人 京都大学, 環境安全保健機構, 准教授 (50533501)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テーバー摩耗試験機 / 電子顕微鏡 / 個数濃度モニタリング装置 / 曝露評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
テーバー摩耗試験機を用いた条件の設定では、摩耗条件が全く同じであっても摩耗量に差が生じる場合があった。使用したCNT/CFRP試験片は均一な樹脂層ではなく、CNTの存在する領域も変化していることが要員であると考えられた。摩耗輪の回転速度及び試験片にかかる荷重は一定であるが、摩耗時間50分間連続的に摩耗が行われている訳わけではなく、摩耗時間や加重での評価ではなく、母材の摩耗量で評価する方法が有益であるとの結論に至った。 摩耗により発生した粒子状物質の個数濃度評価では、OPSとSMPS、FMPSを用いた測定では、全ての摩耗条件において、0.50micro meter前後に個数濃度の最大のピークがあり、そのときの個数濃度の値は6,000個/cm3~9,000個/cm3程度であった。摩耗輪の回転速度や試験片にかかる荷重を変化させたところで、CNT/CFRP試験片由来の0.30 micro meter以上の粒径の粒子の飛散形態に大きな差は生じなかった。摩耗輪の回転速度や試験片にかかる荷重が小さい場合、試験片由来の粒子を粉砕する力が小さくなり、試験片の性質によって飛散粒子に差異が生じることを認めた。試験片は層構造をしていることから、CNTの割合が少ない領域と多い領域で個数濃度にも変化が生じた。摩耗輪の回転速度や試験片にかかる荷重が小さい際に、試験片から粗大粒子が検出されるケースが散見された。個数濃度は電子顕微鏡観察像からも計数し、モニタリング装置との相関を確認した。これらのフィルター捕集した試料から、重量濃度を秤量により求めることで、個数濃度と重量濃度の相関性についても定量的に評価し、摩耗条件によっては高い相関を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ナノマテリルを含む実製品の曝露評価を実施するために、1)対象とする試験体の選定と物性等基本情報の測定、2)耐候性試験、3)摩耗試験方法の条件設定と摩耗試験、4)発生したナノマテリアルのサンプリングと重量濃度及び個数濃度の評価、5)ICPによる含有元素の同定と定量、6)気体試料導入装置を用いた経時的な元素濃度分析と、個数濃度との比較、の6過程を計画した。 2018年度はこの内5)、6)に着目した。2019年度は、3)、4)に着目し、実験を行った。対象の試料はCNTを含むCFRP素材とした。これをテーバー摩耗試験機にセットし摩耗させた。試験機は回転数や加重を変化させられるよう改造を施しており、また摩耗輪の摩耗が認められたことから、ダイアモンド摩耗輪を特注することで摩耗条件を決定した。これらの条件下で、モニター装置類(CPC、SMPS、FMPS)による個数濃度の経時的変化を計測した。また、これらの浮遊粒子状物質をフィルター捕集することで、電子顕微鏡(SEM)による観察像からの個数評価と、重量濃度との比較を試みた。その結果、発生量が多い粒径帯においては、重量濃度と個数濃度の相関が高く、両濃度が曝露評価に有用である結果となった。一方で、摩耗時間が短い試験条件では、重量濃度の定量が厳しいことが認められたことから、4)の評価方法に対応させた3)の摩耗条件が提案できた。顕微鏡による個数濃度評価は、膨大な労力と時間を有し、また計画では記載のなかった内容であることから、上記区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまで、計画通りに研究が進められている。摩耗試験を通じた、個数濃度、重量濃度、顕微鏡観察による評価を進め、かつこれらの元素分析も併用させることで、発生(発じん)した固体が母材に使用されていたナノマテリアルズ由来であるかどうかの判定についても、一定条件下で可能となった。最終年度は、これら母材の耐候性試験の有無で、どれほど曝露量に差が生じるかどうかを定量的に評価し、開発した曝露評価方法が実用的であるかどうかを検討して行く。一方で、試験対象とする母材は開発段階のものが多く、事業者からなかなか入手しにくい状況と言える。理解が得られる協力者を募ることで、試験母材のバリエーションを増やすことが、実用化に向けた大きな課題と言える。
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