2020 Fiscal Year Research-status Report
Innovative Exposure Assessment System for Nano Products to use DMA-GED-ICP/MS.
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18K11677
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松井 康人 京都大学, 環境安全保健機構, 教授 (50533501)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 炭素繊維強化プラスチック / 摩耗試験 / 吸入性粉塵 |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素繊維強化プラスチック(CFRP;Carbon Fiber Reinforced Plastics)を、テーバー摩耗機にて摩耗試験し、加速試験による発塵量を、吸入性粉塵を中心に定量した。フィルター捕集により、1)重量濃度を計測し、同時に、エアロゾルモニタリング装置により、2)個数濃度を計測した。また、フィルターに捕集した粒子状物質を、3)電子顕微鏡により観察することで、その形態について考察した。今年度の計画では、4)気体試料導入装置を通じた元素分析により、3)の結果との比較を実施する計画であったが、新型感染症の拡大に伴う行動規制により、4)は達成できなかった。在宅期間中に、摩耗試験による実製品の曝露評価に関する文献レビューを再実施した。1)の重量測定では、小型の摩耗試験機では、約40分の加速試験時間でも、定量に耐えられる状況とは言えず、信ぴょう性に欠ける結果となった。2)ではCPCを持ちいることで、CFRPを摩耗した際の時間的変動について考察した。摩耗した直後は、どの測定時においても高い値を示す傾向が観察されたことから、約40分の測定時間の内、はじめの5分間を評価に含めないこととした。材料によっては、厚さ方向に層構造を持っている樹脂もあったことから、個数濃度の変動が周期的傾向を示す材料も散見された。総じて、2)の個数濃度評価では、開始5分後から20分程度の幾何平均値を、代表値として用いることとした。3)は捕集したフィルターの中心部を無作為に切り出し、顕微鏡観察の同じ倍率において、10視野をランダムに観察し、視野中に含まれる粒子状物質(固体)をアスペクト比毎に計数した。CFRPは、カーボンナノチューブ(CNT)を含むものと含まないものを対象試料とした。その結果、2)の個数濃度では有意な差が見られなかったが、3)の観察では、CNTを含む材料が、どのアスペクト比においても少ない量であった。観察像上は特徴的は差異は観察できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型感染症の拡大に伴う行動規制が続いたことから、一部の実験を停止せざるを得ない状況に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
在宅期間中の文献調査を通じ、本研究で取り組んでいる標準摩耗試験機を用いた曝露評価に関する研究報告は存在するものの、発塵した物質を元素分析などで同定している文献は、ほぼ見つけることはできなかった。一方で、電子顕微鏡観察により、加速試験した複合材料がどのような形態(形だけではなく、成分や原材料の比率など)で発塵しているかを調査している文献は存在する。本研究では、顕微鏡観察と元素分析による同定を組み合わせることで、より詳細な情報を得られることが期待されることから、期間延長の手続きを申請し、2021年度にこれを実施することとした。
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Causes of Carryover |
新型感染症の拡大に伴う行動規制があったため。
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