2018 Fiscal Year Research-status Report
河川、内湾水中マイクロプラスチック挙動解明と代替物質利用による将来濃度予測
Project/Area Number |
18K11683
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
亀田 豊 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (60397081)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田代 豊 名桜大学, 国際学部, 教授 (20441959)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | マイクロプラスチック / 20μm未満 / 顕微FTIR / 自動分析 / 鶴見川 / 沖縄 / 粒子数粒径分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
河川や海洋、事業所排水等水中の10μm以上のマイクロプラスチックの調査方法を開発、成功した。さらに、調査法で得られた試料から、20μm以上のマイクロプラスチックを自動で同定定量する、顕微FTIRによる分析手法の開発に成功した。従来のマイクロプラスチック調査の問題点として、海洋では調査船を使用した大規模調査が必要なこと、河川や湖沼、事業所排水では大量のサンプルの収集方法が問題であった。さらに、従来の分析方法では、目視によりマイクロプラスチック用物質を判別し、ピンセットでつまんだうえ、FTIRで一つ一つプラスチックか否かを確認している。そのため、分析精度が担保できないこと、つまめないような200μm未満の粒子は対象としていなかった問題があった。 開発した調査法、分析法はこれらの問題点をすべて解決するものである。可搬型のオンサイト濃縮器で河川や湖沼、下水処理場、海洋等でその場で水中のマイクロプラスチックを濃縮できる。さらに、メンブレン上の懸濁物質の赤外スペクトルを面的に測定し、PC上でメンブレン上のマイクロプラスチックの存在を一括にイメージングすることで同定が可能となった。さらに、イメージングで抽出したマイクロプラスチックの粒径、粒子数も自動で測定できる。 この手法を用いて、沖縄のビーチの砂浜と海水、鶴見川河川水を調査した結果、従来の調査方法では検出できない、数十μmのマイクロプラスチックが数百~1500個/m3検出された。また、海洋のマイクロプラスチックは河川水に比較して粒径分布が小さいことやビーチの砂浜中への微粒子マイクロプラスチックの選択的蓄積の傾向も観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
顕微FTIRの納品が遅れたものの、より高精度な顕微FTIRの入手ができた。これにより、当初予想していた以上に精度の高い、マイクロプラスチックの自動同定定量分析手法が完成した。さらに、この手法の調査結果により、従来のマイクロプラスチック調査結果を大きく変えるほどの、新しい知見(マイクロプラスチックの粒径分布、ポリマー組成、マイクロプラスチック濃度)が得られた。この結果は世界的にも今後のマイクロプラスチック研究や社会的対策に大きなインパクトを与えるものと思われる。 一方、海外の大学と共同研究が順調に進んでおり、来年度の結果が期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度開発した調査分析手法を用いて、以下の点を明らかにする。 ・下水処理場へのマイクロプラスチック負荷量調査の実施と負荷量の統計学的推定 ・シミュレーションモデルを使用した国内河川水中マイクロプラスチック濃度及び挙動推定 ・台湾、オーストラリア及び中国における東シナ海を中心としたマイクロプラスチック共同調査 ・10μm未満のマイクロプラスチックの測定方法の開発
|
Causes of Carryover |
物品について、予定していた金額よりも安く購入できたため、残金が発生した。少額のため特別な使用計画は立てないが、計画的に使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)