2018 Fiscal Year Research-status Report
カンボジアを例とした科学的根拠に基づく効率的な水域モニタリング手法の開発
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18K11684
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| Research Institution | Nagano National College of Technology |
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Principal Investigator |
酒井 美月 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (50418688)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 英次 長野工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (20369979)
門上 希和夫 北九州市立大学, 環境技術研究所, 教授 (60433398)
井上 隆信 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00184755)
松本 嘉孝 豊田工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (40413786)
宮里 直樹 群馬工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (00435413)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| Keywords | 化学物質 / 水質 / 網羅分析 / カンボジア / ドローン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、急激な経済発展や人口増加、生活様式の変化に伴い、環境汚染物質の種類と量が急増する途上国を対象に、水域を対象としたモニタリングに対し、地点の選定に科学的根拠を与えるためのデータを取得することを目的としている。具体的には東南アジアのカンボジア王国を対象とし、特に人口集中の顕著である首都プノンペン近郊を対象として、河川、下水のモニタリングを行った。限られた地点での試料より、可能な限り多くの情報を一度に得るため、GC-MSおよびLC-TOF-MSの2種の測定手法を用いた、化学物質のスクリーニング的な一斉分析手法(網羅分析)により、1400物質超を各地点について測定し、結果について解析することで、試料採取地点のモニタリング地点としての重要性について評価する。
カンボジア王国は、東南アジアの熱帯モンスーン気候地帯に属しているため、雨季と乾季の雨量には大きな差がある。国内を縦断するメコン川、および、東南アジアで最大の湖であるトンレサップ湖の流況は季節により大きく変化する。これら水域では水質も大きな季節変化を見せることが予想される。
初年度（2018年度）は当初、現地打ち合わせと、雨季の流域の伸張状況の確認、および現地における分析前処理操作および国内での網羅分析に関する検討を行う予定であったが、渡航前の事前打ち合わせにより現地の状況について、十分に確認できた。そこで9月に現地に渡航し、現地協力機関であるカンボジア環境省とともに試料採取地点の選定を行い、雨季データとしてプノンペン近郊の12地点24試料を分析した。また乾季の試料は2019年3月に同地点で採取した。試料の前処理を協力機関であるカンボジア環境省の分析室で行い、処理後の試料を日本に持ち帰ったのち追加処理をして網羅分析に供した。これまでに9月に採取した試料の分析の一部を終え、採取地点ごとに異なる結果が得られている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画当初、2019年8月および2020年2月に予定していたカンボジアでの水質試料採取について、初年度に前倒しし、2018年度9月と2019年度3月に採取を行った。また、雨季(9月)試料については一部の分析を終えて結果を得ている。2018年度前半では、現地渡航で現況確認や現地協力機関である環境省との測定地点に関する検討、分析室の状況確認をする予定であったが、それについて渡航前の打ち合わせで十分確認可能であったため、試料採取を2018年度中に行った。また、流域の伸張および試料採取地点の周辺状況を、採水とともにドローンにて現地で行ったが、首都プノンペン近郊での作業のため、一部ドローンの飛行不可能区間があり、その範囲に配している採水地点については土地利用情報や周辺の状況を空撮とは異なる手段で入手の必要があるため検討する。
2018年度に採取した試料の分析結果より、雨季と乾季のデータの差異により、端境期のデータが必要となるか今後検討し、雨季から乾季、あるいは乾季から雨季のどちらの季節に変化が起こるかを考察して、場合により追加のデータ採取を行う。
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| Strategy for Future Research Activity |
本研究では全体の研究方法として、水質データの採取、化学物質の網羅分析と、ドローンでの空撮および採水による試料採取地点周辺情報の取得、雨季・乾季等の季節変化によらない定点での観察を実施し、周辺地理情報との重ね合わせ、分析結果からリスクのマーカー物質の抽出により採水地点としての重要性を評価することを行うことを予定している。
これまでに水質試料の採取、分析による網羅分析のデータを得ている。また、採取時にドローンによる空撮画像を取得したが、これは調査エリア全域の情報あるいは水質に影響を与える地域全域の情報ではなく、最水地点を含む局所の情報である。そのため、今後GISや航空写真、衛生写真等の利用も視野に入れ、水質形成要因について検討する。また、水質分析結果からは、雨季と乾季の差異、および汚染のマーカー物質の検出頻度、各物質のリスクなどを考慮して、採取地点の選定について検討していく。
調査対象地としている首都プノンペンは国土の0.3%のエリアに全人口の1割が居住する人口密集地帯である。調査対象としている河川水は浄水の水源ともなり、また下水処理場のない同国においては下水の影響を河川水が受けていると考えられる。環境水質の調査および浄水水源としての水質把握のために科学的根拠に基づく調査地点を選定可能となるよう調査をすすめる。なお、雨季と乾季の調査において、流量など水文条件の把握が必要である可能性が高いことが現地にて明らかになったため、これについては追加し、データ収集を検討する。
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| Causes of Carryover |
2年目の現地調査計画を初年度に前倒ししたため、渡航費を1回分前払い請求した。それにより3月に現地に渡航したが、帰国が3月中旬であったため、精算が4月に持ち越されており、渡航費分が3月末の段階で残った状態で次年度使用額と表示されているものであり、2年目への持ち越しは実際にはほぼない。
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