2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of on-site monitoring method for prevention of Legionella infection
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18K11688
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
山口 進康 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 課長 (20252702)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オンサイト・モニタリング / マイクロ流路デバイス / 蛍光染色 / 水環境 / 危害微生物 / レジオネラ / 食中毒菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
新興感染症であるレジオネラ症は、海外では人の活発な移動に伴い、先進国・途上国を問わず、旅行者感染症として社会問題になっている。日本国内でも入浴施設等において集団感染やレジオネラ肺炎による死亡例が散発していることから、その予防が重要となっている。レジオネラ症予防の基盤となるレジオネラ属菌の検出にあたっては、通常の選択培地を用いた培養法では約2週間を要するため、より迅速に定量できる手法、特に現地(on-site;オンサイト)で実施可能な定量系が国内外で切望されている。そこで、独自に研究を進めているマイクロ流路デバイス(幅・深さ数十マイクロメートルの微小流路を刻んだ小型樹脂製デバイス)および細菌数測定用ポータブル・システムを用いて、病原細菌をon-siteでモニタリングするための手法を確立するための検討を進めている。 今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う様々な措置により、入浴施設等でのサンプリングができなかったため、試料からの標的細菌の回収法を検討した。また、ポータブル・マイクロ流路システムを用いた病原細菌のon-siteモニタリング法の一般化のために、食中毒菌を対象とした研究を進めた。 (1) ポータブル・マイクロ流路システムを用いた食肉中の食中毒菌数測定方法を検討し、感度・精度が一般的な蛍光顕微鏡法と同等以上であることを確認した。 (2) 化学物質と免疫磁気ビーズを併用した濃縮法を検討した結果、回収率が高まり、検出感度を100倍向上させることができた。 (3) ポータブル・マイクロ流路システムを用いて、河川水中の全菌数および生菌数をon-siteで測定するための方法を開発し、論文で発表した。 (4) ポータブル・マイクロ流路システムを用いて、野菜や食肉中の腸管出血性大腸菌O157をon-siteで測定するための方法を開発し、論文で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当所に予定していた国内各地での入浴施設等でのサンプリングはできなかったが、ポータブル・マイクロ流路システムを用いた細菌のon-siteモニタリング法の汎用化に関する研究が進み、河川水中の細菌および野菜・食肉中の大腸菌O157をon-siteでモニタリングするための方法を開発することができた。また、試料からの標的細菌の回収法を検討し、検出感度を大きく向上できた。現在、本研究成果を論文として投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も新型コロナウイルス感染症対策に伴う国内各地での入浴施設等でのサンプリングが困難なことが想定される。そこで、ポータブル・マイクロ流路システムを用いた病原細菌のon-site モニタリング法を一般化するための検討を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う様々な措置により、当初に予定していた国内各地での入浴施設等でのサンプリングができず、研究室内での検討しかできなかった。 今後はレジオネラに加え、食中毒菌等の病原細菌をon-siteでモニタリングするための研究を進める。
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