2018 Fiscal Year Research-status Report
水平電極式動電法による除染のためのフレキシブルイオン吸着電極の開発
Project/Area Number |
18K11690
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
カビール ムハムドゥル 秋田大学, 理工学研究科, 准教授 (10422164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 昇 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (60006674)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | FEM-EK法 / 動電学的処理 / くん炭 / ゼオライト / Cs濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故によって広範囲に放射性物質が拡散された.放射性物質は土壌表面に保持され,環境問題を引き起こす.放射性物質のなかでもセシウムは半減期が30年と長いことから早急な除染が課題となっている.汚染土壌の浄化技術の一つに界面動電現象を利用した動電学的手法(動電処理)がある.本研究では動電処理の一種である水平電極式動電(FEM-EK)法について検討している.この手法では動電処理により移動してきたCsが陰極付近に集まることから,陰極に用いるCs吸着能力を有する電極の開発を行っている.平成30年度の成果として,電極の導電率に関する調査を行った.また,非放射性Csの計測について検討した。 電極作製:くん炭を用いた電極作製に成功した。その際、イオン吸着材料としてゼオライト粉末を使用した。但し、ゼオライトの混入による導電率に低下が見られたが電極として十分機能することを確認している。また,市販の活性炭を利用しても同条件で電極を作製し,くん炭との比較をした。活性炭の電極はくん炭の電極の2-4倍の導電率4ms/mであった。これらのことからくん炭電極の可能性が高いと思われる。今後はイオン吸着能力を調べる予定である。 非放射性Cs濃度計測による研究:Cs除染の研究の場合は非放射性Csを用いることもある。しかし,非放射性Csの定量評価は難しく,簡単な計測方法が求められている。上記にあるように,作製した電極のイオン吸着能力を評価する際に,非放射性Csを用いる予定であるが,そのためにも現在はCs濃度計測を検討している。出発点としては非放射性Cs汚染土壌をプレスによるかためその電気特性を比較している。その結果,Cs濃度と電気特性に関連性があると確認できた。次年度は土壌の誘電特性とCs濃度の関連性を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を達成するために,イオン吸着フレキシブル電極が欠かせないものであり,平成30年度には電極作製にある程度成功したと思っている。電極の場合はその導電率が重要であり,昨年度は電極の導電率はくん炭を用いる場合でも1ms/m以上の導電率を達成できた。活性炭を用いる場合と比べてもくん炭電極は劣ってなくて,FEM-EK法に使用できると期待できる。東北だけではなく,日本国には未使用のもみ殻多くあり,その有効使用法としても新たな可能性現れたと思っている。 電極のイオン吸着評価の際,非放射性Cs液に作製した電極を浸したのち,Cs液体の濃度を比較し,電極のイオン吸着能力を評価する。しかし,Csは周期表にアルカリ族にあり,その濃度計測は簡単ではない。我々は電気特性の観点からCsの濃度の計測を試みた。その結果,Cs濃度と電気特性の関連性が見いだされた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した電極のフレキシブル性を調べ,必要ならその改善に努める。電極作製過程にプレスをかけているが,プレス圧およびプレス時間の調整によるフレキシブル性が増すと考えている。また作製した電極のイオン吸着性も調べる。最終的には,FEM-EK法の実証試験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度に参加予定の一つ学会へ参加できず,旅費が余ったと思われる。そのうち一部分は消耗品購入に充ててきたが,結果として53,080円が繰越すことになった。この研究費を薬品等の消耗品の購入や一部は旅費に充てると考えている。
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Remarks |
(1)研究成果等を常に公開している (2)研究者が所属しているコースのHPである。
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