2018 Fiscal Year Research-status Report
酵素内包タンパク質ナノカプセルを利用した大気汚染物質硫化カルボニル除去法の開発
Project/Area Number |
18K11691
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小川 信明 秋田大学, 本部, 理事 (80169193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾高 雅文 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (20224248)
松村 洋寿 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (60741824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質ナノカプセル / エンカプセリン / 硫化カルボニル / 硫化カルボニル加水分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
硫化カルボニル(COS)は、化学的に安定なガス状硫黄化合物であり、大気圏に長期間滞留しオゾン層破壊に関連する成層圏硫酸エアロゾルの原因物質になること、CO2の1000倍以上の温室効果を示すことから、近年、大気汚染物質として危惧されている。COSの発生源の約1/3は、人為起源と見積もられていることから、COSの大気移行を抑制する効率的な分解除去法の開発が望まれている。そこで本研究は、COS分解酵素(COSase)を利用した新規分解除去法を開発するために、タンパク質ナノカプセルにCOSaseを内包し、エアロゾル化することで、気体基質に対する酵素反応の効率化を行うことを目的とする。 本年度は、まず、ナノカプセル状タンパク質である超好熱菌Thermotoga martima由来エンカプセリンの大腸菌発現系の構築ならびに単一精製を行った。透過型電子顕微鏡測定と動的光散乱法により、精製したエンカプセリンの形状を確認したところ、カプセル状の構造を取っていることが確認できた。次に、エンカプセリンへのゲストタンパク質の内包化法を検討した。Thermotoga martima由来エンカプセリンの内包化シグナルペプチド配列を人工遺伝子合成した。ゲストタンパク質モデルとして緑色蛍光タンパク質EGFPを用いて、EGFPのC末端にエンカプセリン内包化シグナルペプチド配列を付加し、エンカプセリンへの内包化を行った。ゲル濾過カラムを用いたHPLC解析と透過型電子顕微鏡測定により、EGFPのエンカプセリンへの内包化を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画当初の目的通りに、タンパク質ナノカプセルである超好熱菌Thermotoga martima由来エンカプセリンの大腸菌発現系を構築し、単一精製を達成した。また、COS分解酵素内包化のモデルタンパク質として、緑色蛍光タンパク質EGFPを用いたエンカプセリンへの内包化に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、COS分解酵素のThermotoga martima由来エンカプセリンへの内包化、ならびにCOS分解酵素の内包化効率の最適化を行う。また、COS分解酵素内包化エンカプセリンのエアロゾル化を検討し、酵素反応効率への影響を調べる予定である。
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