2019 Fiscal Year Research-status Report
酵素内包タンパク質ナノカプセルを利用した大気汚染物質硫化カルボニル除去法の開発
Project/Area Number |
18K11691
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小川 信明 秋田大学, 本部, 理事 (80169193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾高 雅文 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (20224248)
松村 洋寿 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (60741824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質ナノカプセル / エンカプセリン / フェリチン様プロテイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、硫化カルボニル分解酵素(COSase)をナノカプセル状タンパク質エンカプセリンに内包し、エアロゾル化することで、気体基質である硫化カルボニルに対するCOSaseの酵素反応の高効率化を目的としている。本年度は、エンカプセリン内での内包酵素の状態及び酵素反応の効率を調べるために、超好熱菌Thermotoga martima由来エンカプセリン(TmEnc)の天然の内包酵素であるフェリチン様プロテイン(TmFlp)の大腸菌発現及びキャラクタリゼーションを行った。T. martimaのゲノム情報をもとにTmFlp遺伝子を人工遺伝子合成した。TmFlp遺伝子を大腸菌発現ベクターに挿入し、大腸菌BL21(DE3)でタンパク質発現を行った。SDS-PAGEにより発現確認を行ったところ、TmFlpの分子量位置に濃いバンドが確認された。各種クロマトグライッフィーによる精製後、UV-vis吸収スペクトル測定を行ったところ、TmFlpのFe(III)に由来する吸収バンドが観測された。また、透過型電子顕微鏡観察により、TmFlpはリング状構造をとっていることが明らかになった。基質に塩化鉄(II)を用いて、UV-vis吸収スペクトル測定により、TmFlpのフェロキシダーゼ活性を調べた。TmFlpの基質溶液への添加とともに、Fe(III)由来の吸収の増大が観測された。このことから、TmFlpがフェロキシダーゼ活性を示すことが明らかになった。以上の結果から、TmFlpの発現に成功したことが示された。また、大腸菌によるTmEncとTmFlpの共発現を行い、TmFlpのTmEncへの内包化に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、今年度はエンカプセリンに内包した酵素の酵素反応効率について検討するため、TmEncの内包酵素であるTmFlpの大腸菌発現及び生化学的性質のキャラクタリゼーションを行った。その結果、大腸菌発現系により、解析に十分量のTmFlpを得ることができた。また、TmFlpのフェロキシダーゼ活性を評価することに成功した。これにより、TmFlpの活性を指標として用いて、エンカプセリンへの内包化が内包酵素の酵素反応効率に与える影響について検討することが可能となった。現在、大腸菌発現系によりTmFlpのTmEncへの内包化に成功しており、令和2年度前半には、TmEnc内包TmFlpの酵素活性の解析が終了できると予想している。以上より、研究全体として、概ね計画通りに進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、TmEnc内包TmFlpの発現及び単一精製に成功しているので、来年度は、まずエンカプセリンへの内包化がTmFlpの酵素反応効率に与える影響を検討する。次に、COSaseのTmEncへの内包化と内包したCOSaseの酵素反応の最適化を行う。最後に、COSase内包エンカプセリンのエアロゾル化を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
分担者松村に次年度使用額が生じた。その理由として、研究に必要な試薬代として年度末に残していたが、新型コロナウイルスの大流行に伴い、3月中旬以降に学生の大学への登校と研究活動を停止しなくてはならなくなったため、研究に必要な試薬を購入できなくなったから。 使用計画として、次年度研究が再開できた後、必要試薬の購入にあてる。
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