2019 Fiscal Year Research-status Report
セシウムの森林樹木への移行と森林系外への流出の抑制:植生と吸着材の併用による固定
Project/Area Number |
18K11694
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
魏 永芬 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (00467218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 富生 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (10332686)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | セシウム / 森林土壌 / 廃棄物 / 天然吸着材 / 吸着 / 植生 / pH / ポット栽培実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
森林土壌-植生系における異なる吸着資材によるセシウムの植生と系外への移行抑制効果を明らかにするために,初年度は,室内吸着実験に基づき,炭化汚泥,ココナッツ殻バイオ炭,下水汚泥焼却灰のいずれも廃棄物系吸着剤として,森林土壌よりセシウムに対する高い吸着能力を有していることが分かった(炭化汚泥>ココナッツ殻バイオ炭>下水汚泥焼却灰>森林土壌>籾殻バイオ炭>鋼鉄スラグ)。また,炭化汚泥,ココナッツ殻バイオ炭,下水汚泥焼却灰これらの吸着資材をそれぞれネピアグラスの栽培ポットに添加した結果,吸着資材添加なしの場合に比べて,添加ありのいずれのケースにおいても植生や浸出水へのセシウムの移行量の減少が確認された。特に,ココナッツ殻バイオ炭の抑制効果が顕著であることが判った。 本年度では,廃棄物系吸着資材であるココナッツ殻バイオ炭,下水汚泥焼却灰と,天然吸着材であるゼオライトをそれぞれ用いて,これらの吸着材によるセシウムの植生と浸出水への移行抑制効果の比較検討を行った。具体的には,ココナッツ殻バイオ炭,下水汚泥焼却灰,ゼオライトそれぞれを異なるセシウム汚染レベルの森林土壌に添加し,この土壌を用いてネピアグラスの室内ポット栽培実験を行った(ネピアグラスは播種後1か月収穫と7か月収穫の二段階に分け,散水用水のpHは5,7,9と設定した)。結果として,いずれの添加剤もセシウムの土壌から植生への移行に対して,有意な抑制効果が見られた。中では特にココナッツ殻バイオ炭の効果は顕著であった。また,SEM/EDXで分析したところ,ネピアグラスの内部におけるCsの濃度は表面より高いことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に掲げた実験内容は予定通りに進んでいる。 当初の計画を超え,セシウムのみでなく,ヒ素に対しても廃棄物系吸着資材によるこれらの物質の土壌から植生,土壌から浸出水への移行抑制効果を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り,選出された廃棄物系吸着資材に対して,そのセシウムやヒ素の植生-土壌系外への流出の抑制効果を再確認する。そのうえで,汚染された森林土壌に適用し,セシウムの森林樹木への移行と系外への流出の抑制効果を検証する。
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