2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of Resource Recovery and Environmental Clean-up System By Highly Active Iron-Oxidizing Bacteria
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18K11696
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹内 文章 岡山大学, 環境管理センター, 教授 (90294446)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鉄酸化細菌 / A. ferrooxidans / 高活性株 / 環境浄化 / 資源回収 / 生化学的解析 / 電気培養 / 微生物固定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄酸化細菌 Acidithiobacillus ferrooxidans は,バクテリアリーチングや環境浄化などで利用される細菌として注目されており,応用微生物学的にも非常に重要な細菌である。特に,中性域で成育する Pseudomonas 属細菌などの従属栄養細菌とは異なり,A. ferrooxidans は酸性条件下で生育するために重金属が溶出しやすい。我々は保有株のなかで,銅鉱石等に対して銅の溶出が著しく高い菌株,水銀汚染土壌の浄化に活用できる水銀気化活性が著しく高い高活性株を保有している(気化水銀は,技術的に完全に回収可能)。しかし,これらの菌株は,増殖が遅いために,独自の電気培養装置による高濃度培養技術について長年開発を行ってきた。5 種類の菌株について,実際に100回を超える電気培養を実施した。一般的な振とう培養法あるいは,通気による培養方法に対して,開発した電気培養では,菌体収量において,何れの菌株においても 300~500 培の高濃度培養液を得ることが可能となった。このことで,酵素の精製等の生化学的諸性質の解明が進んだ。さらに,得られる高濃度菌液を実際の現場で活用することで,本研究の課題である水銀を始め各種の重金属回収あるいは環境修復を効率よく省エネルギー的に実施することが可能となった。また,高濃度菌体が得られるようになり担体を用いた固定化微生物法の活用によって高効率化,活性の持続化及び装置のコンパクト化も可能となるために学術的にも技術的にも非常に意義がある。鉄酸化細菌を活用した水銀のバイオレメデェーションに関する研究例は,国内外でもなく,一連の高度活性株に関する応用研究は,高いエネルギーを必要としない経済的な回収技術として応用できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
保有する高活性鉄酸化細菌及びその他のATCC等の標準株について,独自に開発した電気培養装置による様々な条件による培養を重ね,従来の振とう培養法あるいは,通気による培養方法と比べ,著しく高効率で高濃度培養を安定的に実施することが可能になった。菌体の諸性質は,電気培養と従来の培養方法とで差異はなかった。また,実際の資源回収・環境浄化システムを構築するうえで,微生物固定化技術等について検討を行った。電気培養法による高濃度液を活用することで,従来の洗浄細胞を用いて固定化する方法と同様あるいはそれ以上の固定化微生物としての活性を有することが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的を推進するために現在得られている菌株について,諸性質及び実用化に向けた検討を行う。実用化には産業界等との協力体制が必要であり,本プロジェクトを推進するために「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」等に基づく,試験研究,応用研究,資源回収・浄化事業計画について推進する。これまで得られたシステムの改善を図るとともに,本研究の課題以外の対象物質についても資源回収あるいは環境浄化についての開発を検討する。
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Causes of Carryover |
当該(2018)年度において,所属部署における管理職としての業務課題が多かったこと,さらに他の研究経費との関連もあり,本研究経費による実験及び出張等が計画とおりに進まなかった。しかし,従来の実験結果のデーター解析,実用化に向けての装置改良,総合システムの構築等の検討等に関しての研究は推進したと言える。次(2019)年度からは,所属及び身分が異なるが,研究分担者,研究協力者との連携を図り,繰越経費は,物品費,旅費等の分担使用も考慮した使用計画を検討している。
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Remarks |
2019年3月31日まで所属していた環境管理センター及び大学院環境生命科学研究科のWeb掲載は,定年退職に伴い削除予定。
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Research Products
(1 results)