2019 Fiscal Year Research-status Report
Develpoment of novel treatment technology for harmful particulate matters (PM) using Charged dielectric surface and non-thermal plasma
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18K11702
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 恵一郎 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (80549048)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 表面電位 / 付着力 / 誘引電界 / 飛散 / PIV |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の中の項目A,B,Cのうち,以下のAおよびCについて詳細に検討した. (A)放電極から供給されるイオンによる捕集粒子の飛散 (C)DBD(誘電体バリア放電)が誘起する気流と微粒子,印加電圧波形との関係 Aについて,2018年度の研究からPM付着力の源泉が誘電体背面と付着微粒子間に生じるクーロン力にあることが予想された.2019年度はその原理に基づいて,まずPM処理装置の電極構成を改良した.すなわち,PMを負荷電する電極をリアクタ上流に独立配置するとともに,捕集部である誘電体の上方に新たに接地電極(第3電極)を設け,正帯電させた誘電体表面と第3電極との間にPMを誘電体面へと誘引する電界を形成することとした.これにより,PM荷電量と誘引電界強度とが独立パラメータとなり,リアクタ設計の自由度が増す.ただし,PM誘引を妨げる現象は,研究開始当初に想定した電極構成の場合と同様に生じる.数値シミュレーションにより,放電極から発する電気力線のうち第3電極へ向かう割合を最小化しつつPMの誘引電界を最大化する条件を見出した上で,表面電位分布を計測した.その結果,第3電極の存在によって,若干表面電位が低下する傾向が見られたものの,微粒子有無に関わらず印加電圧によってはその影響をほとんど受けないことが分かった. Cについて,PIV法を用い誘起されるイオン風を観測した.PM捕集プロセスで用いる印加電圧ではイオン風の流速は無視できる程度であり,PM飛散の心配は少ない.一方,印加電圧をそれ以上に高めると急速に発生することが分かった.この高流速化は,オフセットを交流電圧に与えた場合にのみ生じた.申請研究の他分野への波及効果を考えるとき,第3電極を用いたDBD誘起流の高速化は検討の価値がある.ここで観測されたのは従来報告例のない高流速であり,その再現性の確認を含めて新たな研究課題を見出すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,要約していえば新方式のPM処理リアクタ内で生じる様々な現象,特に設計に影響する可能性の高い現象について調べ,解明することにある.その観点から見れば,まず,PM付着力の発生原理とそれを妨げる原因をおおよそ特定し,設計指針を見出せたことが,まず十分な成果であったと言える.また,印加電圧条件とDBD誘起流の関係が明らかとなり,それがPM処理リアクタの設計に対して影響を及ぼさない程度であることが把握できたことも今後の研究に好影響を与える.2番目の点については従来にない高速イオン風の発生技術となり得るという点も成果と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にある項目Aについて,字数の関係で実績欄には記載できなかったが,誘電体表面の放電極に間欠的に電圧印加しても表面の電位が保たれるという事実も発見している.この現象を利用すれば,飛散の原因となる電界を限りなくゼロとしつつ,PMを誘引する電界を生じさせるという可能性がある.そこで,2020年度は印加電圧のデューティ比を新たなパラメータとした検討も行っていく.項目B(プラズマによる炭素粒子の酸化分解メカニズムの解明)については,これまでより正確な分解中の熱画像観測を行い,ジュール熱効果の程度を見極める. 項目Cの誘起流の観測については,PMリアクタ実現という意味では2019年度の研究で一定の目途が立っているので,多くの時間は割かないが,PIV計測をより正確に行えるよう調整し,他分野への応用を視野に入れた研究を実施していく.また,研究成果を反映した試作機を製作し,実際の排ガス処理特性を評価する.
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Causes of Carryover |
学会発表のための旅費として支出した航空運賃が予想よりも大幅に低かったことと,消耗品購入を大学予算で賄うことができたことによる.2020年度に予定している学会は米国開催であり,旅費支出が大きいため,繰越額を合わせて全額使用する見込みである.
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Research Products
(2 results)