2018 Fiscal Year Research-status Report
ハロゲン元素を選択的に分離する材料の設計とリサイクル技術の構築
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18K11714
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
手束 聡子 千葉科学大学, 危機管理学部, 准教授 (70435759)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 層状複水酸化物 / ナノシート / イオン交換 / ハロゲン元素 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハロゲンは有価資源として分離・回収が望まれている元素である。水環境や廃液に溶存するハロゲンは、主にマイナス電荷を持つハロゲン化物イオンとして存在しているため、吸着法による分離・回収が可能であると考えられる。その一方で、既存の吸着材は共存イオンが存在する溶液において吸着能が低下する問題があるため、特定のハロゲン化物イオンを回収するためには高い選択性を有する吸着材が必要となる。一般に、無機系の吸着材は有機系の吸着材と比べて特定のイオンに対して高いイオン選択吸着性を発現できる利点がある。層状複水酸化物(LDH)は、二価と三価の金属からなる基本層と層間のアニオンで構成され、層間のアニオンが他のアニオンと交換できる無機のイオン交換体である。本研究は、ハロゲン化物イオンに対して選択吸着性が高い分離材の開発を目的に、異なる結晶系や異なる金属種のLDHの合成,これらのLDHが分散した分離材の合成およびそのハロゲン化物イオン吸着メカニズムの解明を行う。 本年度は、異なる結晶系を有するLDHの合成方法を確立することに主眼をおき、Li、Alを構成元素とする単斜晶系LDHの合成手法の検討を行った。生成物の特性評価は、走査電子顕微鏡(SEM)、X線回折 (XRD)、熱重量-示差熱分析(TG-DTA)、比表面積測定(N2-BET)により行った。その結果、既存の単斜晶系Li-AlLDHの合成手法と比べ、広い範囲のLi/Al モル比率で単斜晶系LDHを合成できることが分った。また、合成条件を詳細に検討することにより、単斜晶系LDHの単相方法を確立することができた。さらに、原料金属を削減することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した検討実験に基づき、単相合成が困難な単斜晶系LDHの合成手法の検討を行い、単斜晶系Li-AlLDHについて安定した単相合成手法の確立に成功した。また、合成時の原料の削減および簡易な合成手法の開発も行なった。この結果より、多様な構成金属からなる単斜晶系LDHの合成を展開するための目処を立てることができた。現在、一般的なLDHを用いて無機化合物との高分散化についての検討にも着手しており、概ね順調に研究は進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度に得られた知見・成果に基づき、構成金属種や金属モル比率が異なる単斜晶系LDHの合成を行ない、研究計画2)ハロゲン化物イオンに対する選択吸着メカニズムの解明を進める。また、LDHと無機化合物との高分散化および複合化の手法についても検討を進める。
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Causes of Carryover |
本年度は、研究成果を得ることができたが、成果報告するには至らなかったため、予定していた国際会議への参加を延期した。そこで、次年度以降に開催される国際会議での研究発表に必要な渡航費および参加費として使用するため、繰り越すこととした。
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Research Products
(5 results)