2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an upgrade recycling method for metallic scraps into long objects with various cross sections
Project/Area Number |
18K11718
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
千葉 良一 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 准教授 (10506083)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 黄銅 / 固相リサイクル / 金属ワイヤ / 押出し加工 / 六角棒 / 機械的特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、金属スクラップの多くは再溶解を経てリサイクルされているが、その再生率は決して高いとは言えない。また、省エネルギーや環境負荷低減の要求がますます厳しくなる昨今、再溶解せずに固相のまま材料を再生する「固相リサイクルプロセス」の開発が進められている。 本年度は、ワイヤカット放電加工から排出される使用済み黄銅(真鍮)ワイヤ線に着目し、熱間押出しによる六角棒への固相リサイクルの可能性を調査した。押出し加工後の再生材の内部状態および室温での機械的性質を調べ、再生材が一般機械部品の用途で利用できるか検討した。 はじめに、放電加工機から排出された0.3mm径の63/37黄銅ワイヤを長さ10mm程度に細断し、アセトン中で超音波洗浄することで脱脂した。次に、それらを100kNで押し固めて20.5mm径の円柱状ビレットを作製し、550℃で3時間焼鈍した。その後、押出しサブプレスの中にビレットを二つ重ねて装填し、650℃で熱間押出しを行った。押出し比4.4および9.0に相当する六角穴が中央に設けられたダイスを用いて、押出し速度10mm/minで押し出した。押し出された再生材は旋削によってダンベル形に加工され、引張試験と硬さ試験により機械的強度を測定するとともに光学顕微鏡による組織観察も行った。 再生材(押出し比4.4)の引張強さは約285MPaであった。これは市販の63/37黄銅棒と比べて約24%低い。しかしながら、一般機械部品の用途であれば十分な強度である。引張試験片の破断部には軸方向に整列した繊維状物が視認できた。この試験片は旋削で加工したものであるが、その加工面はなめらかであり金属光沢が確認できたため、この再生材は機械的な除去加工による二次加工が可能である。横断面を顕微鏡で観察すると、ワイヤ同士の界面が残存していたため、より大きな押出し比を採用すれば強度向上が期待できる。
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