2020 Fiscal Year Research-status Report
未利用リン酸と建設廃棄物系カルシウム塩を用いた一石三鳥アップグレードリサイクル
Project/Area Number |
18K11721
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
高松 さおり 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (10547855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊嶋 剛司 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60447076)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 未利用リン資源 / 廃石膏ボード / ハイドロキシアパタイト(HAp) / 第2リン酸カルシウム(DCPD) / フッ素アパタイト(FAp) / アンモニアガス吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
下水処理プロセス等から発生する未利用リン資源と建設系廃棄物である廃石膏ボードの石膏粒子からハイドロキシアパタイト(HAp:Ca10(PO4)6(OH)2)を合成し,それぞれの廃棄物中に微量に含まれる金属イオンをHApの悪臭吸着機能強化材として活用することにより,1)下水処理プロセスから生じる有機性廃棄物中の有用資源であるリンの回収と,2)建設業から排出される廃石膏ボードのリサイクル,3)畜産業における悪臭問題という3つの課題を解決し,廃棄物の新たな価値創出に寄与するリサイクルシステムの構築を目指すものである。 これまでの研究により,pHを制御したリン酸溶液で石膏を処理して得られるリン酸カルシウム塩の利活用技術について検討した結果,以下の結果が得られた。 1)リン酸イオンを含む水溶液のpHを中性からアルカリ性に変化させることにより,第2リン酸カルシウム(DCPD)と石膏を含む固相を合成できることがわかった。2)DCPDと石膏から構成される固相には,高いフッ化物イオン除去特性があった。3)2)でフッ化物イオン処理後に得られた固相には高いアンモニア吸着特性があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により,試薬のリン酸および石膏(硫酸カルシウム二水和物)を用い,石膏粉を種々のpHのリン酸溶液に添加させると,アルカリ性領域ではリン酸の回収率が80%以上となった。回収した固相はpH12ではHAp,pH8~11では第2リン酸カルシウム(DCPD)と石膏の混合物であることがわかった。このことより,リン酸溶液の初期pHをコントロールすることで石膏からHApおよびDCPDを選択的に合成可能であることがわかった。 フッ化物イオン含む水溶液中にDCPDを添加すると難溶性のフッ素アパタイト(FAp)が生成されることが知られているが,石膏から合成したDPCDにも同様の効果が見られるかを検証した。その結果,石膏から合成したDCPDも高いフッ化物イオン除去能を持ち,回収した固相はFApであることがわかった。 HApにはアンモニア吸着能があることが報告されているが,FApにも同様の効果があるかを検討した。その結果,FApは優れたアンモニア吸着特性を有していることがわかった。 以上の結果より,応募申請書に当初記載した計画以上の成果を得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
石膏とアルカリ性のリン酸溶液を用いてHApを合成した場合のリン酸回収率はほぼ100%であるのに対し,DCPDが得られる系では回収率が80%程度に留まった。回収率を向上させるためにはDCPD合成した溶液のpHをアルカリ性に変化させてHApを析出させ,DCPDとHApの混合物を得るなどの検討行い,フッ素処理材としての高機能化を図る。このことにより,リン酸回収,廃石膏ボードリサイクル,アンモニア吸着に加えてフッ素処理材としての活用も見込まれる。
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Causes of Carryover |
2020年度に国際学会での発表を予定していたが,長引く新型コロナウィルス感染症の影響により国際発表の機会による海外への渡航がなくなったこと,また国内においても出張等が困難となったことなどから出張費用分として計上していた予算を次年度の研究費として繰り越すこととした。 次年度の使用計画としては,出張費用ではなく研究の継続に必要となる物品の購入や論文の別刷等の費用として使用する予定である。
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