2021 Fiscal Year Research-status Report
太陽光パネルの湿式法によるガラス分離と有害金属除去を目的とした高分子抽出剤の開発
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18K11722
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
岩熊 美奈子 都城工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (00342593)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 太陽光パネル / 溶媒抽出 / レアメタル回収 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギー基本計画に基づき、近年では石油代替エネルギーとして太陽光パネルが多く普及している。しかしながらその寿命は20年から30年といわれ、2035年頃より排出見込み量が80万トンと試算されている。太陽光パネルには有害金属である亜鉛、鉛、セレンなどが多量に含まれており、不法投棄などで環境中に排出されることが懸念される。太陽光パネルにはガラス、高分子接着剤、金属基盤など様々な素材による層から作られており、回収、再利用は困難である。そこで本研究ではガラスと金属の分離をまず行い、対象の金属に選択的に反応するための分離試薬を開発する。①カバーガラスとCIGS膜の湿式分離②高分子鎖をもつ新規な特徴をもつ抽出剤の開発、分子の設計、官能基の選択③実廃パネルを用いた実証実験、について検討を行っている。本研究では、まず始めに現在困難といわれている湿式によるガラスとCIGS膜の分離を行う。廃棄される太陽光パネルは経年劣化によりガラスのひび割れ、汚れなどが考えられるためまず洗浄を行い、その後にカバーガラスとCIGS膜の分離を行う。カバーガラスとCIGS膜の間には高分子接着剤であるEVAポリマーが塗布されている。この接着剤を溶解もしくは物理的にはがすことができれば、純度の高いガラスとCIGSを得ることができる。 次に得たCIGS膜内のセレンや混入した亜鉛や鉛の分離回収を行う。セレン、亜鉛や鉛は環境汚染物質であり不法投棄された場合、環境中に溶出することで土壌汚染や水質汚染につながる。ゆえにこれらの有害金属は太陽光パネルが回収された際に取り除くことが必須の金属である。 しかしながら、現在はコロナ禍による研究の進捗が思わしくなく、次年度引き続き検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍による学校の休講が2年間あり、研究を進めることが激しく困難であった。昨年度が最終年度であったが1年の延長を申請したところである。
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Strategy for Future Research Activity |
薄膜の分離剤についての検討が進まないため、全体の計画が遅れている。今後は模擬の廃材を用いた検討を行いつつ、抽出などの実験を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍における大幅な研究の遅れにより、研究調査等の出張および学校閉鎖による研究者雇用ができなかったため。
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