2019 Fiscal Year Research-status Report
リサイクルに利用可能な解体性と高耐熱性を併せ持つ易解体性高耐熱粘着技術の開発
| Project/Area Number |
18K11723
|
|---|
| Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
|---|
Principal Investigator |
舘 秀樹 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 和泉センター, 主幹研究員 (60359429)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
| Keywords | ポリイミド / シリコーン / 易剥離 / 粘着剤 / 耐熱性 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、粘着剤への易解体性能の付与を行うために、これまでに報告している光分解性架橋剤の本研究への適用を検討した。加えて耐熱性を有する粘着剤の作製方法の確立を行った。
光分解能を有する光分解性架橋剤を複数合成し、易解体性の発現とその応用について詳細な検討を行った。光分解性架橋剤は架橋剤としてだけでなく、架橋後のネットワークポリマーを光照射により分解し易解体能の付与が期待できる。その結果、光分解性架橋剤をポリマー系に適用し、光分解性架橋ゲルを作製することができた。光照射によりゲル状態から液体へ容易に変化させることができた。
また、耐熱性を有する粘着剤については、アミノ基を含有するシリコーン系粘着剤の作製方法を確立した。剛直な芳香族高分子に、柔軟性の高いシリコーンや脂肪族架橋構造を導入することで、粘着特性発現に必要なミクロ相分離構造を形成し、耐熱性と粘着特性(粘着力、凝集力、保持力等)を両立させた粘着剤の作製が可能となった。この粘着剤に易解体性を付与するために上記光分解性架橋剤の主査骨格への導入や添加などの適用を検討している。加えて、粘着剤への解体性付与するために、解体性を有する新たなモノマーの合成やポリマー化を行い、合成や評価を実施している。
ポリイミドフィルム上に塗工した粘着剤を用いて、粘着シートの粘着特性および耐熱性の評価を実施した。得られた粘着シートは、PETおよびSUS基板に対し、250 ℃ 2 hrの加熱または300 ℃ 1 hrの加熱後も約5-10 N/20 mmの剥離強度を維持する粘着シートを作製することができた。現在、粘着剤への官能基導入を実施し、詳細な検討を実施している。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請書に基づき、以下の3点について研究をすすめ、当該年度の目標を達成することができた。
（１）高耐熱性を有する芳香族高分子粘着剤の開発：アミノ基を含有するシリコーン系粘着剤の作製方法を確立するとともに、粘着シートの粘着特性および耐熱性の評価を実施した。良好な耐熱性を示す粘着シートの作製ができた
（２）粘着剤への解体性付与：また、粘着剤への解体性付与については、解体性を有するモノマーの合成とポリマー化を行い、合成を実施した。
（３）潜在性化合物の合成と易解体性高耐熱粘着剤の開発：光分解性架橋剤を潜在性化合物として粘着剤中に組み込み、詳細な検討を実施している。
|
| Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、リサイクルに利用可能な解体性と高耐熱性を併せ持つ易解体性高耐熱粘着技術の開発のために、引き続き（１）高耐熱性を有する芳香族高分子粘着剤の開発、（２）粘着剤への解体性付与を行い、最適化を目指す。現時点で、、PETおよびSUS基板に対し、250 °C2 hrの加熱または300 ℃ 1 hrの加熱後も約5-10 N/20 mmの剥離強度を維持する粘着シートを作製が可能であるが、さらなる耐熱温度および粘着強度の性能向上を目指す。
また、光分解性架橋剤以外にもアシルオキシムや側鎖反応性の置換基を有するモノマーの合成およびポリマー化により解体能の導入の検討および評価を実施する。
さらに、光分解性架橋剤を潜在性化合物として用いることで、解体性と耐熱性を併せ持つ易解体性さらに易解体性高耐熱粘着技術の開発を加速させる。
|
| Causes of Carryover |
（理由）
計画していた消耗品について残額等が生じたことや当初予定していた学会へ参加できず旅費およびその他経費の残額が生じた。
（使用計画）
次年度、物品費として使用する。
|
