• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Research-status Report

Evaluation of biodiversity in the head of 'Yatsu' small valleys in Kanto plain

Research Project

Project/Area Number 18K11730
Research InstitutionToho University

Principal Investigator

西廣 淳  東邦大学, 理学部, 准教授 (60334330)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords湧水 / 農業生態系 / 土地利用変化 / GIS / 生物分布モデル
Outline of Annual Research Achievements

今年度は谷津の湧水環境に依存して生息する動物の分布に影響する要因を解析した。千葉県北部の谷津の土地利用変遷を整理した。加えて、谷津環境の改善実験に着手した。
湧水で涵養される谷津の水路に生息する生物の保全に寄与する知見を得るため、湧水依存生物の中でも特に減少が顕著なスナヤツメを対象に、宅地開発が進行した地域残存するスナヤツメ個体群のサイズ構造と生息環境の特徴と水路や河川における段差や横断構造物がスナヤツメ個体群に及ぼす影響を検討した。
千葉ニュータウンの開発が進行している千葉県印西市でスナヤツメ個体群を発見し、その生息地を調査した。調査地は湧水が豊富であることや、底質が砂質であるという点では、スナヤツメの生息に適した環境の条件を備えていた。しかし、個体のサイズ分布とそこから推定された成長速度、繁殖期の成体の割合は、先行研究の結果よりも低かった。水路内の分布パターンは時期によって変化し、季節や成長段階に応じて水系内で移動していることが示唆された。調査した水路の下流端には段差があるため、成長したスナヤツメの一部はこの段差から下流側に落下している可能性があり、これにより再び上流側に戻ることができなくなるため、大型の個体が残存し難くなっていることが示唆された。
谷津の湧水に依存して生息する動物のうち、スナヤツメよりも生息地点が多い種としてオニヤンマに注目し、分布に影響する要因を解析した。対象地は千葉県北部の谷津環境37地点調査とした。環境選好性の調査と同様に生物調査と環境調査を行った。オニヤンマが選好する環境要因を明らかにするためにパス解析を行った。
その結果、オニヤンマの生息には、湧水の存在、水温(砂温)、有機物量、アメリカザリガニの存在が有意に影響していた。湧水の存在や量には台地上部における土地利用が影響している可能性が示唆されたが、関係は不明瞭であったため、来年度精査する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

谷津の土地利用の変遷について、当初は30年前と現在を比較することを予定していたが、すぐれた空中写真を入手できたため、1940年代以降の10年刻みでのデータを得ることが出来た。
谷津に生息する動物の分布に影響する要因として、当初は土地改変、管理放棄、外来種の侵入とそれらの交互作用の影響に注目していたが、これらに加え谷津を流れる水路と河川の連続性の問題が明らかになった。農業用水路と河川は管理者が異なるため、その接続部分には大きな段差が生じるなど、生物にとっての連続性が損なわれることは一般的な問題であると考えられる。今後の研究ではこの連続性の評価について考慮する必要が有ることが示されたことは、予定以上の成果であった。なおこれらの成果は論文として英文誌に投稿中である。

Strategy for Future Research Activity

今年度はスナヤツメとオニヤンマに注目して分布調査と要因解析を行ったが、来年度は対象種を増やして一般性と個別性の検討を深める。また効果的な生物分布把握手法として環境DNAの活用を検討する。

Causes of Carryover

当初は2018年秋に台風による出水を想定し、出水時の生物移動のモニタリング調査を行う予定としていた。しかし2018年は大きな出水がなく、予定していた調査は行わなかった。2019年は、前年の経験を活かし、複数回の調査により、さまざまな流量の時点での生物の移動を把握することで、出水がなくても目的のデータが得られるデザインに変更した。このため2018年度に執行を予定していた旅費と消耗品費の一部を繰り越し、2019年度に調査用のサーバーネットの購入や国内旅費にあてることにした。

  • Research Products

    (8 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (7 results)

  • [Journal Article] Artificial wave breakers promote the establishment of alien aquatic plants in a shallow lake2019

    • Author(s)
      Kim JY, Yano T, Nakanishi R, Tagami H, Nishihiro J.
    • Journal Title

      Biological Invasions

      Volume: 21 Pages: 1545-1556

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/s10530-019-01915-z

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 都市化で分断化されたアカハライモリ個体群の生態学的特徴2019

    • Author(s)
      井上祐子・工藤陽介・齋籐大河・西廣淳
    • Organizer
      日本生態学会第66回大会
  • [Presentation] 植生回復ポテンシャルを維持するための「シードバンクマネジメント」2019

    • Author(s)
      安藤果純・Im RY・Kim JY・西廣美穂・西廣淳
    • Organizer
      日本生態学会第66回大会
  • [Presentation] 千葉県北部・印旛沼流域の谷津におけるオニヤンマの分布に影響する要因2019

    • Author(s)
      小林美保・加藤大輝・平野佑奈・西廣淳
    • Organizer
      日本生態学会第66回大会
  • [Presentation] 都市化と耕作放棄に伴う印旛沼水源湿地の変遷.2019

    • Author(s)
      加藤大輝・藤本夏来・佐藤慶季・西廣淳
    • Organizer
      日本生態学会第66回大会
  • [Presentation] スナヤツメ孤立個体群の生息環境とサイズ構造:個体群間比較による持続性評価2019

    • Author(s)
      平野佑奈・木寺法子・今藤夏子・西廣淳
    • Organizer
      日本生態学会第66回大会
  • [Presentation] Seed transport pattern during the thphoon-induced flood in channelized and restored urban streams2019

    • Author(s)
      Im RY, Kim JY, Ando K, Inoue A, Nishihiro J
    • Organizer
      日本生態学会第66回大会
  • [Presentation] 孤立した谷津に生息するアカハライモリ(Cynops phyrrhogaster)の生態2018

    • Author(s)
      齋藤大河・工藤陽介・井上祐子・西廣淳
    • Organizer
      日本爬虫両棲類学会第57回大会

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi