2020 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of biodiversity in the head of 'Yatsu' small valleys in Kanto plain
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18K11730
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
西廣 淳 国立研究開発法人国立環境研究所, 気候変動適応センター, 室長 (60334330)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 湧水 / 水温 / 土地利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
谷津奥部で生じる湧水に依存して生息する動物の分布を把握するとともに、分布に影響する要因を、谷津の局所環境要因に加え、景観構造の影響を加味した解析を行った。サワガニとオニヤンマ(幼虫)の分布を、37か所の谷津で調査した。その結果、サワガニやオニヤンマの分布と、外来種であるアメリカザリガニの分布が排他的であることが示された。 景観構造の影響としては、谷津の集水域における浸透面の面積をGISによって算出した。局所的環境要因としては、湧水が直接流入する一次水路の流速、夏季の水温、底質の粒度組成(採取し篩分けにより定量化)を測定した。これらの要因が、サワガニ、オニヤンマ、アメリカザリガニの分布に影響する要因を共分散構造分析の一つであるパス解析によって検討した。 パス解析の結果、サワガニは底質における砂礫の割合が高い場所に分布していることが示された。そして底質における砂礫の割合は流速から正の影響を受けていること、流速は集水域の浸透面の面積率から正の影響を受けていることが示された。一方、オニヤンマは夏季の水温が低い場所に分布していることが示された。そして夏季の水温は、集水域の浸透面の面積率から負の影響を受けていることが示された。すなわち、サワガニとオニヤンマの分布は、浸透面の面積率が高い谷津に高い確率で分布するものの、その影響は、それぞれ底質と水温という異なる要因を介していることが示唆された。またアメリカザリガニは、底質における砂礫の割合が低い場所に分布していることが示された。アメリカザリガニによる、サワガニやオニヤンンマへの直接的な影響は有意ではなかった。 これらのことから、集水域における雨水浸透面の確保は、豊富な湧水の供給を通じてサワガニとオニヤンマの分布を支えていることがわかった。これらの湧水依存生物の保全には、景観スケールでの管理や水路の底質にかかわる管理が有効であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)