2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11732
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
田中 章 東京都市大学, 環境学部, 教授 (30350234)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生物多様性オフセット / 生物多様性分野定量評価 / 生物多様性バンキング / ノーネットロス / HEP / 流域バンキング / 地域循環共生圏 / ミティゲーション・ヒエラルキー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍により海外活動はできず、①国内緑地創成に関する税制度整理、②実験地の生態学的位置づけの把握、③里山管理活動の成果評価の生物多様性定量評価手法の開発、④企業とのコラボレーション方法の検討を行った。 ①国内の環境税の中でも使途が緑地創成を主とする制度を収集し、開発事業との連携、生物多様性定量評価手法の活用の観点から分析した結果、使途が緑地創成を主としながら開発事業と連携する制度が存在することを確認できた。しかし、全ての事例において定量評価はなされていなかった。この成果は第20回環境アセスメント学会学術発表会にて口頭発表を行った。②GISを活用して、里山バンク対象地が含まれる印旛沼流域を15の区域に分割して1993年と2019年の緑地の量とコネクティビティの分析を行った結果、実験地においては緑被率・コネクティビティ共に約17%減少していることが明らかとなり、実験地は緑地の量・コネクティビティ共に減少傾向にある流域の中でまとまった自然環境を保全するモデルとして位置付けられることを確認した。③オオムラサキを評価対象種としてHEPベースの里山管理活動の成果を評価する生物多様性定量評価手法を開発し、里山管理活動によりオオムラサキのハビタットの質が向上することを確認した。この成果は第20回環境アセスメント学会学術発表会にて口頭発表を行った。また、21年5月に開催される国際影響評価学会大会(IAIA21)でも発表を予定している。④里山バンクの導入に興味を有している上場企業と里山バンク実験地での協力の議論を8月、9月、21年3月に行い、まだオフセット義務のない日本における企業のCSRやSDGsの実現において里山バンクの有する可能性について、今後、協力を進めることになった。今後企業の生物多様性保全に関するニーズの調査等を共同で実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響で海外状況に関する現地調査ができず、国内における対面調査も制限を受けたという意味で「少し遅れている」とした。但し、その分、前述したような可能な追加調査を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
酒々井町で里山バンクの実証実験を進めていき、国内事例の収集を進める。また、国際影響評価学会の年会(IAIA21)においてこれまでの成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延により、海外調査がすべてキャンセルせざるを得ず、国内調査に振り替えたため。 次年度の国内調査としては国内関連制度並びに事例の調査を行う。
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Research Products
(14 results)